東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

操体フォーラムinマドリッド その2

フォーラムも2日目になりました。
今日は僕らにも足趾や触診での出番があるので朝は緊張して目が覚めました。

2日目の最初は三浦先生の足趾の実演から始まりました。
客席から日本人の女性の方を呼んで、ステージ上で落とし、揺らし、揉みと足趾の操法が進んでいきます。
被験者の方はとても素直な方で、操法の途中から、からだの無意識の動きがかなり大きく出始め、納めの時には快適感覚に声をあげて反応しておられました。僕は足趾の操法でのこんな大きな反応を見せていただいたのは初めてでした。三浦先生は足底の揉みもされましたが、操法が終わってもベッドで寝ている女性の反応はずっと続いていました。反応が落ち着いて来てから、女性ご自身がスペイン語で会場のみなさんに感想を述べられました。言葉はわからないのですが、どんな感覚を味わったのか詳細に語られていたのだと思います。
スペインに来て思ったのは、このような感覚の表現がとても豊かなことです。日本に暮らしていると、きもちのよさについて丁寧に時間をかけて語り合うということはあまり無い事だと思います。きもちのよさに対する価値観が違うのかもしれません。
その後三浦先生から、この反応についての解説があり、自分の意識の動きと、からだの無意識の動きの違いを説明されました。

会場の方の反応はこの時点でも身を乗り出さんばかりでしたが、この女性がぜひ先生に日本語でお礼をとのことでお話しをされ、こんな幸福感は今まで味わったことが無い、ただただ本当に本当に先生に感謝する、と涙ぐみながら話されると、言葉はわからなくても、一緒になって涙を流す方が会場のあちこちに見受けられました。三浦先生ご自身も会場に「なんでこんなに涙が流れるのでしょう」と操法の途中からその感覚に涙が溢れてきたとお話しされました。先生も言われていましたが、あの涙は感情的なものとは違って、生命同士が触れあって共鳴するところから生まれる自然なものだと思いました。それは会場全体を包み込み、その場に居合わせた人達がみな共鳴するものだったと思います。僕自身もそれが生まれる瞬間に立ち会えたことに感動して涙が流れました。

その後、参加者の方々に僕らが足趾の操法をさせて頂くことに。しかしふと我に帰ると、師匠のこれだけのものを見た後なので参加者の皆さんが期待しているものは、恐ろしくハードルが高いことに気が付き、チビリそうになりながらやらせて頂きました。今思い返すとやはり緊張していて穴があったら入りたいような気分ですが、それでも既に会場の空気がガラッと変わっていて参加者の方も受けてみたいと思って頂いたせいか、からだに触れさせて頂くと意外に安心してすることができ、皆さん無意識の動きを出してみたいという気持ちが強くあるのを感じましたが、からだが反応してくれているのがよくわかりました。
その後も何人かの参加者がステージで足趾の操法の感想をお話しされましたが、みなさん丁寧に自分の感じたことを話しておられるように思いました。

この後三浦先生がひかがみの触診について解説した上で実演され、何人かを触診されました、小野田先生も三浦先生に呼ばれてステージ上にあがり、逃避反応からひかがみの圧痛硬結がなくなることを確認する場面も。

僕らもその後また参加者の方達の触診をしました。三浦先生はステージ上に呼んだ女性が自ら動くことでひかがみの硬結が無くなることも披露していました。1つ1つの説明に皆さんが本当に興味をもって聞かれていることがわかります。

2日目は1日目より時間が短くここでプログラムは終了。その後修了書の授与、写真撮影などをしてひとまず終了しました。

プログラムは終わったのですが、その後一部の参加者の方達とお話しをする時間が持たれました。
こちらでは少人数でより生の声をお聞きすることが出来ました。とにかく皆さん熱心で、本当に操体の持っているものを求めておられ、それを理解しようとされていることがよくわかります。ここでも皆さん丁寧に自分の感じたことを話しておられました。恥ずかしいですが僕なんかは普段でもシドロモドロなのに、通訳の方を通して自分の思いを話すなんてことになると、だんだん自分が何を話そうとしているのかわからなくなり余計にシドロモドロでした。

それに比べると三浦先生は突然「えー、この履物は」とやおらご自分の下駄を皆さんに見せて、この下駄にまつわる伝説(?)を披露され、皆さんの笑いを誘っていました。そして「この下駄が来年もスペインへ来たいと言っているが、いいですか?」と聞くと皆さん大喜びでした。

こうして「操体フォーラムinマドリッド」は幕を閉じました。
操体にご縁をいただいていつも思うのは、なぜかそこに関わる人達がとても熱くなるということです。それにしても今日は特に、そのことが言葉を超えて起こることなんだと感じさせてもらう1日になりました。

6日目につづく


山本明


10月2日から視診触診、連動の体得などをはじめ、操体に必須のスキルを学ぶ、
操体法東京研究会2010年秋季集中講座(全10回)を行います。
11月20、21日千駄ヶ谷津田ホールにて2010年秋季東京操体フォーラムが開催されます。
2010年8月、社団法人日本操体指導者協会を設立しました。