東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

足趾の操法Beginner Class

ようやく最終日となって参りました、今回はほぼ毎日一つずつ
内容をUPして行くという非常にギリギリでタイトな一週間となってしまいました。
一応、今日で終わりですが、私にとって今年の総決算ですので、最後までお付き合いを

丁度、先週一週間前ですが、一般社団法人 日本操体指導者協会(以下SPAJ)公認
島根では初の『足趾の操法Beginner Class』を行いました。
私が師範代になってから島根初の協会公認クラスとなりました。
因みに、『足趾の操法とは橋本敬三先生が70代の頃の数年間、臨床の場において行われていた、
操体には珍しい他力で行う操法の一つです。NHKで“温古堂治療室”が放映されて以降は忙しくなり、
現場で橋本先生が行うことは殆ど無かったそうです。

橋本先生がやられていたのは、『揉み、ゆらし、落とし』の基本三足趾だけだったそうですが、
操体法東京研究会では三浦先生が長年の経験と研鑽の中で、更に洗練され、
現在、SPAJでは操法のバリエーションも増え、操法+納めまでを『足趾の操法として、講習致しております。

この『足趾の操法は他力でありながらも、刺激を中和する刺激であり、
極上の心地よさを味わうことが出来ます。受けている最中に意識がとんだり、
爆睡してしまうこともよくあります。

今回の『足趾の操法Beginner Class』はプロの養成が目的では無く、
あくまでも自分の一番身近な大切な家族や彼女彼氏を自らの手を通して健康管理をすることが
大きな目的です。どんな名医より、一番心許せる身近な人に触れてもらうことが何よりの薬なのです。

今回は12月1日(土)、2日(日)の両日、12時間の講習でした。
参加者は最大定員10名と決めておりましたので、定員一杯の10名の方に参加戴きました。
しかも、全て女性というのが如何にも私らしいと思いました。

初日は操体概論という形で、操体とはから始まり、橋本敬三先生の略歴や息食動想の考え方など、
操体の基本的考えを話しました。普段話さないような細かいところも含め話したので、
どうかとも思いましたが、後で感想を聞いてみると、橋本先生がどのような方で、
苦労して次世代に操体を繋いでこられたということが分かったなどという感想でした。
いずれにしても、激動の時代に生まれ、日本が近代化に向けて最も熱かった時代を
駆け抜けてきた生き様に感心しきりでした。

そして、初日のメインである『身体運動の法則』をミッチリと行いました。
重心安定の法則と重心移動の法則は、足趾の操法を行う上において、
最も必要とされる要素であり、今回の足趾の操法Beginner Classのメインと
言っても過言では無いのが、『身体運動の法則』なのです。

今迄も、足趾の操法を教えてくれと、個人レッスンを申し込む方も居たのですが、
その誰もが共通するのが、目先のテクニックだけをチョイチョイと学べば、現場で即、
使えると勘違いしているのです。だから、大概、見様見真似でやると、手首を痛めたり、
全然気持ちよくないって言われるけど、と言ってくることがあります。
当たり前だ!からだは我々が考える以上に、鋭いセンサーを持っており、
こいつ勉強してないなと感じれば、たちどころに感覚をシャットダウンしてしまう。
要は見透かされてしまうのです。
薄っぺらいアプローチで気持ちよさが通るほど、我々のからだは単純では無い。
だから、基礎が必要なのです。

キッチリと気持ちよさをからだに通す基礎として、身体運動の法則は必須であり、
人をみるには先ず自分からなのです。身体運動の法則が一通り終わると、
数人から腰が凄く楽になりましたとか、首や背中が違和感が無くなりましたなど、
色々な感想が出ていました。皆さん身体運動の法則の重要性を身をもって再確認したようです。

二日目は足趾の概論に始まり、いよいよ具体的に『足底揉み、揺らし、落とし』
という基本三足趾を行いました。
和気あいあいとした中にも、真剣さが感じられ、最初は痛いとか、
キツイとか色々注文があったのが、最後辺りになると、記憶が飛んだり、
落としの心地よいリズムが刻まれるようになり、全てのプログラムが終了しました。

足趾の操法は非常に奥が深く、毎年のように改訂、更新されていきますので、
常にブラッシュアップ、チェックが必要なのです。一度納めれば二度とやらなくて良いものなど、
ありません。安易に人を癒したいとか、言う人がいますが、
人を癒すにはその後ろで流す汗の量が全てなのです。



池を泳ぐ白鳥の姿は優美で余裕すら感じますが、水面下を見ると、
凄まじい勢いで水かきを回転させ、必死で足を動かしています。
まさに学びの神髄とはここにあり、傍目から簡単そうに見えるものこそ、
実際は難しく奥が深いのです。その裏側では血の滲むような努力と時間が費やされ、
優雅な姿をみせることが出来るのです。

全ての学びが、安易な気持ちで取り組むと思わぬしっぺ返しを食うのです。
今回の参加者の方々が、口々に言っていたのが、人に何かをすることは
自分のからだを先ずまとめないと駄目なんですね、それがよく分かりました。と言われていました。


その後、受講生の方達から、実際に家で家族に行って、様々な体験や反応があったと、
嬉しい言葉をたくさん戴いています。旦那さんがギックリ腰一歩手前でフラフラな状態で帰ってきて、
落としと、揺らしを行ったら、スッと楽に立てるようになり、
「マジ!うそ!何で?やば!」を二分間連発し、むっちゃ楽なんだけど!と感動したなど、
少しずつ家族などの嬉しい反応が返ってきていて、講習に参加して良かったという声を聞いています。

今、日本は年々医療費は増大し、国庫を圧迫しています。
せめて身内の健康管理位は身内でやれればこれほど素晴らしいことは無いのです。
子供の頃、お腹や頭が痛くなったときにお母さんに撫でてもらって痛みが消えた経験を誰しもが、
一度は経験していると思いますが、愛情という薬ほど、医者いらずな薬はありません。

私の中で、『一家に一人、足趾の操法を』がスローガンであり、
家族間でのささやかな健康管理の一助になればと考えております。

一週間、あちこちに飛びまくったブログにお付き合い戴きありがとうございました、
来週からは我らが大師匠三浦先生の登場です、お楽しみに。