東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

私にとって操体とは検証である(六日目)

昨日の検証で、人間機械のために必要な燃料として、燃える成分である「食」を語ったが、同時にもう一つ別の要素が燃料を燃やす成分としての「酸素」である。六日目はその酸素について検証する。
燃やす成分の酸素(O2)は、燃える成分である炭素(C)と密接に連携することではじめて生物界におけるサイクルが完成する物質である。このサイクルというのは、可燃物と酸素の合成という捉え方をすると、植物は地中にある水素原子2個(H2)と酸素原子1個(O)が結合し、水分(H2O)を吸い上げ、緑葉に存在するクロロフィルという光合成器官の上で空気中の炭酸ガス(CO2)と反応させて種々の炭水化物を作り、酸素を放出する。
人間や動物のからだでは、植物の放出した酸素を肺から取り込んで炭水化物を分解し、炭酸ガスと水を作る。こうしてできた炭酸ガスは、肺を通じて再び大気に戻され、植物がまた利用することになる。からだが取り込んだ酸素を炭酸ガスとして再び大気に戻す、こういった流れを呼吸作用というが、実は、肺による呼吸ともう一つ細胞による呼吸がある。そしてこの細胞呼吸こそが生物体の命にかかわる大切な化学反応に携わっているのである。
肺呼吸において食物という可燃物を燃やす場合に通気を良くするには、酸素消費を増やすことと、可燃物である食物を少なくすることの二つの方法がある。食物の摂取を増やすと多くの酸素が要求され、酸素消費も増えるということは、呼吸活動もそれにつれて激しくなってくる。これは基礎代謝量が異常に増加することを意味し、エネルギー消費の悪循環の原因が作られてしまうことになる。逆に言うと、代謝による燃焼の炎を小さくすることで通気の必要量を少なくすることができる。ということは無駄な酸素消費と炭酸ガス生成がともに減少するので、呼吸活動は少なくてすみ、からだの健康状態は全面的に驚くほど改善されることになる。
このような肺呼吸は酸素20%、窒素70%、その他の各種気体成分10%からなる空気を呼吸しているのである。しかし細胞呼吸ではそういった気体の他に光や音、色、紫外線、赤外線、α線β線γ線、といったさまざまなものを呼吸しているのだ。我々をとりまく外気には実におびただしい種類の電磁波が充満し、それぞれ異なった波長で人間にも作用を及ぼしている。
この電磁波は大気を貫通して地上に現れるのであるが、大気そのものに所属しているわけではない。いわば宇宙エネルギーがいろいろな形をとって表現されたものである。だが、このような大気を呼吸しても、その中に隠されている驚異の創造物を直感によって感知することができないのが普通である。それでも人間は限りない種類の香りや光、色、音、調和のとれた各種放射線などの真っただ中で生活している。通常の感覚器官ではそのうちほんの一部分を感知しているに過ぎないのである。何故なら肺呼吸のみに捉われているため、酸素の追求という悪循環に陥ってしまっているからだ。
こうした悪循環に逆行して、燃やし方をより少なくする方向へと転換をはからなくてはならないが、それには操体操法における快感覚を味わうということによって、細胞呼吸の電磁波を感知することができる。快の極みにおいては、自然呼吸の中で吸う息とともに宇宙エネルギーが肺の中に入ってくるのをからだが感知する。すると、体内の燃焼を極力低下させ、精神・肉体の休息状態を形作ることに大いに貢献するのである。