東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

フラクタル

 佐助が担当する4日目です。4日目の今日はフラクタルについて書きたいと思います。よろしくお願いします。
 自然界を理解する上で欠かせないのが、フラクタル現象とされています。フラクタル現象は、1960年代にフランスの数学者マンデルブロー(Mandelbrot)により導入された幾何学の概念で、部分が全体と相似(自己相似)となるような図形をいいます。フラクタルの代表的なモデルとして、コッホ曲線 (Niels Fabian Helge von Koch, 1870-1924) があります。自然界のデザインにはどこか共通したものがあります。自己相似性という原理ですが、これを数学的に表現しようというのがフラクタルでもあります。つまり同じ式の繰り返しから自然界のデザイン生成をしようというものです。
 例えば直線があります。

 直線の真ん中3分の1を三角に折ります。

 その線を同じように折ります。

 同じように繰り返すと、雪の結晶になります。詳しくは、曲線比率や物理数学の知識を要しますが、こうした原理を体系化したのがフラクタル(仏教の世界感を表したとされる曼荼羅マンダラ」もフラクタルになっています)ということになります。コッホ曲線の「三等分の真ん中が正三角形になる」という情報は、つまり、潜在する原理であり、それは染色体遺伝情報(単位塩基配列)に相当させると、自然現象の分割成長が即ちフラクタルな展開であると理解できます。一般に樹木や海岸線、植物がフラクタル外相を帯びるのはそのためです。
 フラクタル図形とは1つ1つのセル(細胞)が、忠実に基礎情報を展開した集積体であるといえます。これは、からだの細胞分裂となる分割成長そのものに近似してくることから、自然現象がフラクタルな分割成長をもって成長しているといえるようです。例えばサンセベリアの葉を葉に対して垂直に、3つに切り分けて、切り口を川砂に挿しておくと、まず根が出て新芽がふきます。サンセベリアの細胞1つ1つは、その生を維持するために、下は根っこ、上は葉先ということを理解して、そのように成長します。その場に相応しい分割成長を個々の細胞が判断し、環境に適応しているということです。京都大学山中伸弥教授(物質−細胞統合システム拠点/再生医科学研究所)らの研究グループが、発表したヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)はじめ、再生医療の世界の報告が、適応性を明らかにしていると思います。
 簡単にいうと、「どこにも中心がなく、どこにも中心がある」ということになるのではないでしょうか。からだでいうと、脳だけがからだの核となる中心でなく、手足の骨格や臓器・筋・皮膚などそれぞれのすべてが核となるということになると思います。
 自然現象は、分割成長させながら、46億という長い時間をかけて地球の大自然を発生させたということになります。
 フラクタル原理により作成された動画を紹介します。

今日はこの辺りで・・・・。ありがとうございました。