東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

1000兆円超。

おはようございます。

何日か前に、今年の6月末の時点で国の負債総額が1000兆円を越えたと耳にした。
単純計算すると国民一人当たり792万円の負債を抱えていることになるという。
負債の大半は国債によるものだが、税収で歳出を賄えないから、国債を発行する。
国債には利子が付く。その債務と歳出を賄う為に、また国債を発行して借金する。
繰り返しているうちに、どんどん膨らんでいく。

 この国債を返したり、利子を支払ったりする額が、年間約22兆円。国家予算が約92兆円として、この国債費だけで24パーセントを占めるという。
 その国債費を上回るのが、医療、年金、福祉、介護、生活保護などの社会保障関係費で年間約29兆円。こちらは31パーセントを占め、一番多く使われている。

 一時期、無駄使いが大きく取り上げられていた公共事業関係費は6パーセント弱にすぎず、国債費と社会保障関係費が、いかに膨大かが解る。そして、これから訪れる超高齢化社会の事を考えれば、益々その額は増えていくのは明らかだ。

 今までどおりのやり方では、いつか破綻の時がくる。国債を発行して、景気をはじめ、あらゆる面で「楽」になったとしても、「楽」は長くは続かない。「楽」をした分だけ「苦」は待っている。

 今までの考え方、意識の持ち方を変えていかなければならない。もう社会全体レベルでみても「楽」では通用しない時代になってきているのではないだろうか。

 「楽」をしたい。「楽」をさせたい。とりわけ日本人の場合は、「楽」をさせたいという想い。親、兄弟、子供に「楽」をさせてやりたい、その為に頑張ろう、という想いが強かったと思う。それが、急速な戦後復興を可能としたのかもしれない。
 しかし、復興を遂げ一定の水準まで成長すると、今まで「楽」に向け、ガムシャラに頑張ってきた事による歪みが、あちらこちらに生じてきてしまったようだ。
 そして借金につぐ借金。苦<楽<苦<楽<苦・・・。

 これからは「楽」ではなく、「快」をききわけ、それに従う生き方が主流とならねばならない。そこから、一丸となって「快」に向かうという意識を柱とし、その為に個人がどうするか、ということを考えていく必要があると思う。

 とりわけ、社会保障関連費の医療、福祉、介護。この分野の「楽」から「快」へのシフトチェンジは急務だ。これはサービスを提供する側ではなく、受ける側、特にこれから受けるであろう人達の意識を変革していく事が重要だという事。

 サービスを受ける人達が「楽」を求めたままならば、サービスを提供する側も「楽」に留まるしかない。
 専門色が強い分野だけに一般の人達は、専門家に任せたほうが確実と思い丸投げしてしまう。その方が診る方も診られる方も「楽」だろう。
 しかし、自分のからだの事は自分のからだが一番良く知っている。感覚をつうじて自分のからだと向き合うという事が非常に重要なのだ。そして「快」をとおして、心とからだのバランスを調整していくこと。
 つまり未病の段階で病の芽を摘んでしまうという事だ。そうすれば応急処置的な治療は別として、医療、介護などのサービスを受ける頻度は、おのずと減ってくる。

 サービスを受ける側が、器質的異常が認められるまで、自分のからだと向き合おうとしない。サービスを提供する側も器質的異常が認められてからのサービス。
 これでは、元の状態に回復するのに、時間とそれなりの費用がかかる。考え方を変える必要がある。健康診断で異常がないから良し、とする考え方も然り。その前に手を打つ。日々手入れをする。

 面倒くさいから異常が出るまで放っておくのは「楽」だろう。しかし「楽」をした分だけ「苦」は待っている。手入れは難しいものではない。気持ちよさ、つまり「快」をききわければ良いのだから、誰でも出来ることだ。

 大多数の人達がそうするようになれば、社会全体の在り方も変わってくる。「楽」を基準に考えても、もうどうにもならない。「苦」があっても、「快」の立場から物事を判断し、「快」に向かわなくてはならないと感じる。