おはようございます。
昨日は、般若身経と他の健康体操的なものとの、違いについて書きましたが、昨日書いた事以外にも、般若身経には大きな特色があります。
それは、からだに感覚をききわけるという事。自然法則に則り、からだを使い、動かすという意識をもって取り組んでも、この感覚のききわけがなければ、意味を成さなくなってしまう。
例えば、一つの動きをゆっくりと、とおしてみて、どこかに痛みや不快感が生じたならば、その動きは一旦中止する事。「こうしなければいけない」という固定観念で、そのまま続けてしまうというのが一番良くない。
何故なら、痛みや不快を感じるという事は、からだは「それ以上やってほしくない」という、サインを送ってくれているからだ。このサインに耳を傾けないと、かえってバランスを崩してしまう。
これは不快に従う必要はないという事を、からだが示してくれているのだと思う。不快に従えば、不快な方向にバランスが傾き、バランスを崩すという事。逆に、快に従えば、快の方向にバランスが向き、より良いバランスとなる。
「そんなこと言ったって、不快な事もしなければ生きていけないだろう」と言う人もいると思う。しかし、その不快な事というのは、心の表面の部分だけで、判断している場合が多いのではないだろうか。そして、心は移ろい易い。だから、からだにききわけるという事が重要になってくる。
心の持ち方も重要だ。心の営み、つまり「想」も、「環境」と「息」「食」「動」の調和のうえに成り立っている。
現代人は、「環境」との係わりに於いて、人為的環境、社会的環境との係わりの比重が、とても多くなってしまっている。その分、暮らしも豊かで便利なものと、なっていると言える。しかし、その反面、精神的ストレスを、生じさせやすくもなっている。
心の問題を心の持ち方だけで解消できれば、それに越したことはないが、なかなか上手くいかないのが実情だと思う。
しかし、心は単独ではなく、他の「息」「食」「動」とつながっているのだから、感覚をとおして快に向けた調和をはかっていけば良いのではないだろうか。
心を一人ぼっちにさせておく必要はない。
それには「動」で調和をはかるのが、一番取り組み易いのではないかと感じる。いかんせん「食」では、欲につながりやすく、その時は気分が良くても、後々、心とからだを気持ちの悪い方向に向け、更にバランスを崩す可能性がある。気分が良いという事と、気持ちが良いという事は違うのだ。
また「息」での心の調和のはかり方は、それなりの修練が必要となると思う。その修練も、からだのツクリと動きを自然体に近づけるよう、バランスを調整してからの方がより効果的だと思う。
心の動きとからだの動きは、同時相関相補連動性であり、心とからだは中枢神経を介してつながっている。だから、心の調和をはかるにも「動」から入るのが一番手近だと感じる。
また、手近にする為にも「般若身経」を基に、からだと、感覚のききわけをとおして、向き合うことだと思う。
感覚をとおして、つながりや係わり方は変わる。つながりや係わり方が変われば、当然、質も変わる。からだの細胞は80兆個あると言われるが、その一つ一つを構成する原子や原子核にも意志と意識があるのだから。
それを快に導くのか、不快に導くのか。快によって、より良く調和するのか。それとも不快によって不調和を生み、衰退するのか。
感覚をききわけるという事は、それほど大事なことなのだ。そして大事と思うか、思わないかは、心の在り方にかかっている。
般若身経は、からだの使い方、動かし方の基本法則であり、そこから身体運動の法則の究明が成されてきた。その究明は、創始者橋本敬三先生から、高弟である三浦寛先生に引き継がれた。
橋本先生の時代は身体運動の法則というと3法則1相関性だった。それでも間に合っていたのだと思う。しかし近年では、先日の「操体曼荼羅」で、三浦寛先生から発表があったように、8法則、8相関性となっている。
それだけ現代社会が高度に複雑化し、身心のバランス、特に心の調和と身体とのバランスを保つのが難しくなっていると言える。何よりも良心や真心といったものがオブラートに包まれ、心の隅に追いやられてしまっている感もある。だから、より自然法則を細かく突き詰めて究明し、満を持して発表されたのだと思う。
人間は不変で普遍的な自然環境に適応することを根本に、その時々の自然環境、そして人為・社会的環境にも適応していかなければならない。これだけ環境が、以前と変わったものとなってくると、人間もレベルアップする必要があるのではないだろうか。
例えば、ほとんどの人は、本来の脳の機能を5パーセントぐらいしか生かせていない。それでも、これだけの知性を育み、文化も発展させてきたのは凄い事だ。
しかし、あとコンマ数パーセントでも生かせれば、もっと様々な環境に適応でき、より快適に生命活動を営むことが、出来るのではないだろうか。
良心や真心を、より手近で親密なものとし、心の調和と身体のバランスとの調和を、より良くすることで脳の機能も高まる。そんな可能性を8法則、8相関性は秘めていると思う。
一週間、お付き合いいただき、ありがとうございました。
暑い日も多く、パソコンの前で文章を読むだけで、汗が滲んできたと思います。
また、この一週間は、自然の猛威をまざまざと、見せ付けられた週でもあったと思います。
集中豪雨、竜巻。被害に遭われた方も、いらっしゃるかもしれませんが、どうか快に向け、舵をきって進んで頂けますよう、お祈り致します。
明日からは中谷さんが担当されます。
来週もよろしくお願いいたします。