臨床の最中に、からだに起こっている「呼吸」の変化に
ただただ魅せられることがあります。
それまでは小さく、浅く、隠れてしまっていたような呼吸の営みが
まるで、水平線の向こうから静かに、ゆったりと
よせてはかえす、波のリズムに見えてきたり、
吸気に伴う胸郭の膨らみから
山脈が何百年、何千年という時間をかけて隆起しているようなイメージを想起したり。
ちょっとオーバーかも知れませんが、からだを前に
そんな雄大な「自然」を前にしているような
感動を味わうことがあります。
そういうときの呼吸からは、充分な「間(マ)」を感じます。
このときの「間(マ)」は
アタマで思考して
生み出す類いのものとは
質の違うもののように感じます。
からだの中には、こんな雄大な呼吸の営みが眠っていたのか
と驚くとともに、
なぜ普段の生活の中では、忘れ去られてしまっているのだろうかと、
この呼吸を眠らせてしまっているのは何なのだろうか、と
不思議で、仕方がありません。