「労働している中で、我々の誰一人として人間らしく働いていない」 と、すでに述べた。 これから言えることは、我々は今までとは違う別の働き方をすることが絶対に必要である。 誰もが自分自身で働かなければならない。 他人は自分に何もすることができない。
たとえば、陶器を初日に述べた、三つの脳を持った人間として造ることができれば、それとは違う機織りの技術をすでに習得していることになる。 人間には、あらゆることをするために必要な、すべての装置が与えられている。 他の人たちにできることは、誰にでもできる。 一人ができれば、他の誰にでもできる。 これは絶対的な人間の法則である。
天才とか才能といったものは極めてナンセンスだ。 その秘訣は簡単であり、ものごとを三つの脳を持った人間らしく行うことである。 考えることができ、人間らしく行なうことができる人は、一つのことを人間らしからぬ方法で生涯続けてきた人の仕事を、その人と同じように上手に、しかも直ちにすることができる。
一人が十年を費やして習ったことを、もう一人は二、三日で習い、しかも一生その仕事をしてきた人より上手にする。 このことを知らず、人間らしくない働き方をしてきた人々でも、この事実を知ると、かって一度も見たこともない最も細かい仕事や最も粗い仕事を容易にやってしまうことができる。
そんな人物を私は知っている。 操体の仲間たちの中にもそういった人がいる。 それは、いとも簡単に操体の手技を習得してしまう。 たぶん、三つの脳を十分に働かせている人間らしい動物なのだと思う。
その秘訣はちょっとしたことで、いとも簡単に理解できる。 それには三つの脳を持った人間らしく働くことを学ばねばならない。 ということは、何かをしているときは、何をしているかを考え、いかに労働すべきかを研究し、労働中は、労働以外のすべてを一切忘れ、それだけに 「くいつく」 ということだ。
明日につづく
4月30日(月)に開催致します。
テーマは「スポーツ障害と操体」です