入門し3年、4年と月日が流れる。
先生の診療が終わり、先生と火鉢を囲み、お茶を頂く。
「こんな難しいことに首を突っ込んでよく学んだな。しかし一生愉しめるぞ」
と言われる。
患者には「簡単な」ことと言い、私達には「こんな難しいこと」という。
学問にしていくということの違いなのだろう。
しかし、私は根っから難しいことは嫌いである。
この橋本敬三の世界はただならぬ空間の世界である。
難しい。そう思考する私自身が輪をかけて難しくしているのだ。
しかし、先生のそばにいられることは、私にとって最高に自由で解放されていることであり、自分が愉しんでいる世界であった。