昨日は感染症についてコメントしたが、その感染症を警戒するあまり、ヒトにとってバイ菌やウイルスが毒だ、というので過剰にそれらを殺すことばかり考えるようになってしまった。 そうすると、抗菌・除菌・殺菌ということに専念して力を注ぐことになる。 しかし、バイ菌たちも 「やられてたまるか」 ということになり、必然的に強くなって変身し、対抗してくる。
たとえば、大腸菌は、私の子どもの頃には殆ど病原性はないものと知らされていた。 ところが、今やO157という恐ろしい大腸菌に変化してしまった。 腸炎を起こした患者にその菌を殺す抗生物質を飲ませると、病原菌は一応、死ぬことになるが、なかには抗生物質から何とか逃れ、生き残った大腸菌も存在する。 その生き残りの大腸菌に対して、死にゆく大腸菌が今わの際に、「俺はこれで死ぬ! けれども俺の仇をこれで取ってくれ!」 と言って、「ベラ毒素」 という毒素を生き残った大腸菌に渡すのだ。 この毒素はヒトを腎不全にして死に至らしめることになる。 このように強力なバイ菌やウイルスが出現してきたのは、抗生物質を使い、消毒液を使うなどして結局のところ人間がこういうモンスターを造ったのである。
研究熱心な感染症の学者たちの間でも、いずれどうしようもないような、つまり、抗生物質はもちろん効かない! 消毒液も効かない! そういうどうしようもない原因もわからないバイ菌やウイルスが出てくるであろうと予想していた。 消毒薬がくれば、その中で生き残れるような強い菌が生き残りながら、自分を消毒液に強いバイ菌やウイルスに変化させるのである。 こうして原因もわからなければ治療法もないというような病気がその予想どおり生まれてくることになる。
そしてついにその前ぶれとして 「環境ホルモン」 というのが出現した。 これは病気もせずに元気な身体を持っていたにもかかわらず、内分泌攪乱物質、すなわち、環境ホルモンのせいで体調不良になったり、からだの機能に不思議なことが起きてくる。 この環境ホルモンの代表例がダイオキシンと、PCBである。
ここまで恐ろしい話ばかりしてきたが、昨日話した 「宿主の感受性(病気にならないようにする)」 にはどのような暮らし方が必要なのか? まずその原因であるが、それは病原菌が繁殖しやすいような体質をヒトが作り上げてきた結果として、その宿主に病原菌が侵入すると、感染症として成立するわけである。 いわゆる伝染病としての種々の症状が発現してくる。
ところで、操体医学の立場から言うと、症状は健康への道しるべであり、症状疾患が現れたからと言って驚くほどのことではない。 症状は、操体臨床での問診や動診で意思表示するからだの感覚ととらえることができる。 このように考えて、病原菌が繁殖するような体質を作った日常生活の誤りとは何かを考え、それを正せば良いということになる。 もちろん、正すということは免疫力アップに直結している。
この免疫力というものについて特筆すべきことがある。 それは日常生活において、ヒトは紛れもない動物であり、動くことで発汗が起こり、体内から水分・塩分・ビタミンCの恒常性三要素を失ってしまう。 水分不足は便秘や消化器官に潰瘍、他に尿毒症の原因となる。 塩分不足は消化器官の障害、神経炎、運動器障害、心臓、腎臓、血管障害を招くようになる。 そしてビタミンCの欠乏は皮下出血や壊血病の血管循環器系等の障害原因となる。
これらの原因は病原菌に対する殺菌力や抵抗力を減退させ、そこに細菌やウイルスが侵入し、感染が成立して発病するに至る。 しかし、症状・疾患をからだの感覚ととらえて症状に応じた適切な処置で回復に向かわせることができる。 また予防策として、活動後の発汗の際には水分・塩分・ビタミンCの恒常性三要素を適切に補給しておくことが必須条件であり、感染症から免れることも可能である。