東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

私のズッコケ操体クロニクル ③  昨日の続き

 居酒屋の壁に貼らせていただいた広告には10時~20時と記している。 次の日に居酒屋に行くと、店主が広告を指さして、「もっと遅くまで時間を伸ばすことはできないのか?」 お客さんが言うには、「20時じゃ夜のお仕事関係の人は誰も行けないね」 と言っていたそうだ。 店主曰く、「うちに来る客は夜遅くになってからが商売になる、まあ、ほとんどの客が水商売関係の人たちだからなあ。」 

 

 対応の早い私は 「分かりました、では早速23時までに延長します、明日、広告を作り直してきます。 そして今日から23時まで居ますので、もし、来院しそうなお客さんがいればそのように言ってもらってもいいですか?」 そう言うと、店主は店のメニューを書くマジックで20時の部分を23時に書き換えてくれた。

 

 それから当院に戻り、コーヒーを飲みながら電話番をしていた。 21時過ぎに初めて予約の問い合わせが入った。 明日の夜20時30分頃に来院したいとのことだった。 その後は電話もなく、ワンセグTVを観ながら過ごしていた。 その後、22時30分頃に電話が鳴り、あの居酒屋で当院の広告を見たお客からの問い合わせで、もう少ししたら、そう23時頃に来院したいと言う。 

 

 帰宅する電車時刻のこともあったが、分かりましたと返答してしまった。 こうなったからにはしょうがない、今夜はここで泊まるか! そう覚悟して、来院の準備をしていた。 先ほど食べたどて焼きの匂いがしてはまずいので、歯磨きして、施術室にもリセッシュをして、お香も焚いた。 

 

 そして23時過ぎにやって来たのは、少し酒に酔った水商売風の20代の女性二人連れだった。 友達が一緒について来たのかと思いきや、二人ともが患者ということだ。 どちらが先にしますか? と聞くと、茶髪に染めた方の娘が 「私から」 といって勝手に施術ベッドに寝転んだ。 もう一人の方はすでにソファーで寝そべっている。 

 

 ベッドに寝転んだ娘に問診すると、左肩甲骨と背骨の間の部分が痛い、それも1週間位前からだという。 視診~触診で、とくに足がとても冷えていたので足趾の操法からやり始めて、1分もしないのに大いびきをかきだした。 だらりと力が抜けて無防備な姿勢で眠っている姿勢からしてレム睡眠だとわかる。 特徴として瞼の下で眼球がキョロキョロと動いている。 この状態は身体を修復し、活動時に備えるためのホルモン分泌が行われている。 それから二つほど仰臥位で上肢の動診~操法を続けた後、からだを動かしてみて、「背中の痛みが取れたみたい!」 と一言。 これで一人目の施術を終えた。

 

 次にもう一人の彼女であるが、偏頭痛で困っているとのこと。 触診すると腰仙部が非常に緊張している。 この場合、腰仙部の緊張が取れることで、偏頭痛は改善すると確信した。 肝臓を患うと眼球に黄疸症状が出るのと同じで、仙骨の変異は後頭部に偏頭痛というような症状が出る。 臨床に移ると、この娘の場合も足趾の特に趾回しを念入りに施してから、伏臥位で足関節の動診~操法を三つほど行って施術を終えた。 彼女は頭痛が取れた、と言ってたいそう喜んでくれたことは、私にとっても嬉しかった。

 

 しかし、そう喜んでいる場合ではなかった。 それからというもの、連日のように深夜の来院ばかりである。 せっかく6か月の通勤定期を購入したばかりなのに、払い戻しをする羽目になった。 当院近くのモータープールを月極め契約して、片道1時間半はかかる車通勤に変更せざるを得なくなったのである。 

 

 施術時間も余儀なく再変更を迫られた、泣く泣く15時~23時にしたが、それでも早くても18時以降でないと電話も鳴らない。 最終的には仕方なく、17時~24時に再々変更することになった。 24時といっても実際に終えるのは深夜1時~2時頃になってしまう。 正直言ってこんなはずじゃなかった。