東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

ひだり・・・2

おはようございます。

左と右。

左という字には工が入り、右という字には口が入る。

違いはそれだけではなく、工と口の上の横線とはらいの長さも本来は違う。

そして、書き順も違う。

 

左にあるのは、ナ(サ)であり、短めの横線を書いてから、長めのはらいを書く。

右にあるのは、又(ユウ)という文字がナとなったのであり、短めのはらいを書いてから、長めの横線を書く。

 

この横線とはらいは、手腕を意味するのだという。

左の場合は、長めのはらいが腕で、横線とそこから先が手のひらを表す。そして、右の場合は長めの横線が腕で、はらいとそこから先が手のひらを表すという。

 

漢字の由来や成り立ちについては諸説あるが、どれも手に由来して、その特性は元々違うのだと主張していることには興味を惹かれる。

 

手腕の動きも一つ一つ突き詰めていけば、牽引、圧迫、背屈、掌屈、外旋、内旋、尺屈、撓屈となり、これは右手にも左手にも当てはまる。

しかし、元々の特性は違うという事を考慮する必要がある。

右手も左手も同じに考え、同じように動かせるのが良いという訳ではない。

それぞれの特性を尊重したうえで、全体との調和をはかっていく事が大切。

 

全体との調和をはかっていくには、手腕の一つ一つの動きの特性も身をもって識っておく必要がある。

一つ一つの動きは、遠心性と求心性の動きに大別されるが、それを身をもって識り、右手と左手の特性とをつなぎ合わせ、全体のバランスを良くしていく。

 

同じようなものという先入観から平均化を求めるよりも、それぞれの特性を理解したうえで、その能力を十分に発揮できるようにする。

そうなると、手に限らず左右の軸というのは平均化に合わせたものではなく、特性に合わせてより身体全体が合目的に動く為のものに変えていく必要があると思う。

言い変えれば、元々非対称性の特性を持つ人体なのだから、不確実な先入観からの決めつけ(妄想)よりも、元々の決まりごとに合わせていく必要があるのだと思う。