「質問」
今 昭宏
温古堂ではほとんど私が患者さんを診ていたわけですが、
全員簡単に治るわけではないですし、なかなか良くなら
ない患者さんもいるわけです。
そんなとき、いろいろと私なりに工夫してやっていると、
先生はニコニコ嬉しそうに見守ってくれたものでした。
当時よくやっていた操法は、可動域ギリギリまで動いて
もらって、そこから少しだけ反対に動いてもらうやりかた
でした。
例えばカエル足操法では脚を上げた所から下げてもらうとか、
肩を上げた所からちょっと下げてもらうとかいう風にする
操法です。
補助する角度で感覚がだいぶ違ってくるんですね。
本などに紹介されている操法は可動域からもっとそれを超え
る方向に動く方法が多かったので、新しい試みだし、抵抗して
止める点を探すのがとてもおもしろかったので試してみていた
のでした。
自分で動いてみてもそのほうが気持ちが良かったので、そんな
操法をよく使っていたのだと思います。
そんなときに温古堂に研修に来たのが、京都の丸住さんでした。
丸住さんもその時同じような操法を試していたらしく、意気投
合。皮膚の操法などもその時にいろいろとやってみたりして
教わった記憶があります。
丸住さんは一年間温古堂でヤジウマし、操法のイラストなど素
晴らしい絵をたくさん描いてくれました。
あれから25年。
ありがたいご縁に感謝です。
さて私は温古堂入門初日から先生に、気持ちよさを味わえば良
くなるようになっていることを教えなさいと指示されていたの
で、(本当はおもいっきり怒鳴られて指令された)
患者さんに動きの感覚を教えてもらいながらあれこれと操法を
やり続けてみたのでした。
そしてある時、自分が橋本先生の本に書いてある内容と少し
違うことをやっていることが気になり始めたのです。
みなさんご存知の操法のときの回数、秒数、脱力 呼吸などに
ついての決まりを守れなくなったからです。
なので私は先生の答えはわかってはいたのですが、あえて先生
にたずねてみたのでした。
「先生ここのところに回数とか秒数か脱力の仕方とか書いてある
やり方は目安で書いてあるとは思うんですが、いろいろためして
みたんですが、最初は右が良くて、二回目は左が良いという時も
あるし、たわめの時間も10秒とか20秒がいい時もあるし、脱力も
ゆっくりと静かに脱力したほうが心地いい時もありますよね。
だとするとここに書いてある決まりは原始感覚からみると間違っ
ていますよね?」
「そうだなー」
「感覚は瞬間瞬間変わるからなー」
「ぜんぶ気持ちのよさで決まるんだー」
「後は君達若い人たちでなんでもやってみてくれや」
と答えてくれたのでした。
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