東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

なぜ、『一人操体』『二人操体』とは言わないのか

我々東京操体フォーラム実行委員のメンバーには、ちょっとしたこだわりがあります。
こだわりと言っても、橋本敬三生の哲学にならっているだけなんですけどね。


一般的には「一人操体」「二人操体」という言葉を聞くことがあります。
話を聞いてみると、「一人でやるから『一人操体』で二人でやれば『二人操体』じゃないですか」と言われます。それももっともと言えばもっともなのですが、どうやらこの言葉のルーツは、神戸の中川重雄氏の本『すぐできる 一人操体』と『ふれあいの 二人操体』から来ているのかなと思います。


★書籍のタイトルっていうのは、やはり売り物ですから売れるようにつけるわけです。私の最初の本はサブタイトルが『辛い、痛いを自分で治す!』でした。橋本先生の『万病を治せる妙療法』も


確かに一人でやれば一人操体で、二人でやれば二人操体じゃん!というのも分かりますがまあ、私の話も聞いて下さい(笑)


操体は基本的に『自力自療』(自らの力で自らを療す)です。しかしこの自力自療という言葉がちょっと取り違えられているケースが多いのです。


自力自療、というのは『自分で自分を治す』そっか、それじゃ一人操体じゃん、と思うのは早計です。


自力自療≠一人操体


(自力自療は一人操体ではない)


一人でやるから≠一人操体
二人でやるから≠二人操体
三人でやるから≠三人操体


なのです。



操体で言う自力自療とは『本人にしかわからない感覚をききわけ(自力で診断・分析)、味わう(自力で治療)』という
ことなのです。操体は『目的がある動き』(例えば仰向け膝二分の一屈曲位で膝を右に倒すとか)を試し、それに快適感覚がききわけられるのか感覚の分析を行い、快適感覚があったらそれをからだが納得するまで味わうというものです。


感覚のききわけを行うのは『本人』しかいませんから、基本的には一人でやろうが介助者あるいは操者がいて、二人でやろうが、体育館などで指導者が言葉の誘導だけで動きを指導しようが、全部自力自療なのです。


なので一人でやるから「一人操体」、二人でやるから「二人操体」ではないのです。


★三人でやったら(三人でもできますよ)、十人でやったら。。


例えば、家で自分でからだのメンテナンスをする場合には『自力自動の動診と操法』という言い方をします。


操体法治療室―からだの感覚にゆだねる


操体法の治療と予防


上記二冊の本は、「自力自動」の操体法が載っています。「操体法治療室」は巻末にポジション別に、「操体法の治療と予防」はやはり全編ポジション別に載っています。これも面白いのですが、初診の方が本を持ってこられて、『自分でやってみたんですが、よく分かりません』という方が多いのです。なので『どんな風にやってらっしゃいますか』とチェックさせていただくと、動きが早く、感覚をききわけていないとか、単にその関節しか動かしておらず、末端が動いてからだの中心腰が動いて、首が動いて全身が動く、という連動が表現されていないのです。
こういう場合、何度か学習を積んでいただきます。最初からうまく行く場合もありますが、感覚をききわけながらゆっくりとからだを操る、ということに慣れていない方が多いのです。


学習を積んでいくと、「快適感覚をききわけ、味わう」という意味を、からだをとおして納得していただけるようになります。そうすれば、指一本、腕一本動かしてもきもちよさをききわけることができ(診断)味わう(治療)ことができるようになります。そうなったら大したもんだ!!



Hiromi Hatakeyama 畠山裕美



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