これから書くことは、やっちゃんという47才の女性の
ものがたりです。
やっちゃんは5年程前からときどき治療室にきてくれたり
操体講習会にも通ってくれていた看護師さんです。
平成20年9月12日の夕方のことでした。
この日の最後の予約の患者さんはやっちゃんでした。
しかし、やっちゃんは予約の時間を40分過ぎても来ませんでした。
何の連絡もありません。
私はやっちゃんの携帯に電話を入れてみました。
そしたら留守番電話になっていて誰も出ません。
私は心配になって自宅に電話をしてみました。
そしたら、お母さんが電話に出て、
「今日はなんか調子が変だったので、タクシーで行きなさい
って言って、だいぶ前にタクシーで治療室に向かったんですー」
とのこと。
えぇっ、いつもは自分の車で来るのに、どうしたんだー?、
んんー、なんかおかしい。
私は気がつくと車に乗っていました。
さがしに出かけたんですね。
私はゆっくりキョロキョロ運転しながらやっちゃんをさがしました。
なかなか見つかりませんでした。
15分位探し回ったでしょうか。
あきらめて帰ろうとしたとき、
「発見!」いましたいました。
やっちゃんはムサシとカインズホームの間の坂道を
トコトコと歩いています。
何でこんなところを?。治療室から3キロはあります。
私は左にあるファミーナの駐車場に入ってUターンをして、
やっちゃんのすぐそばで止まり、助手席のウインドウを開け、
「おーい、どこ行くの?」とニコニコ声をかけました。
やっちゃんはびっくりした顔で私を見ました。
「まあ、乗って乗って!」
やっちゃんは助手席に乗るなり「よかったー!、よかったー!」と
何度も繰り返していいました。
「今日はどうしたの?」
「はい!」と、にこにこ微笑むだけのやっちゃん。
「家に帰る?」と私。
「えっ?」
「治療を受けます!」とやっちゃん。
これは軽い脳梗塞かなんかかなー?、などと思いながらも
そのまま治療室へ。
一通りあれこれと操法をやって、揺らしが始まるとやっちゃんは
イビキをかいて寝てしまいました。
10分ほどぐーぐーと寝て目覚めました。
治療を終えても、なんとなく目がとろんとしている感じで、
いつものやっちゃんとは違う様子だったので、私は家まで送ってゆくことにしました。
やっちゃんは助手席で少しぼーっとしてはいましたが、家までの
道順をちゃーんとナビゲートしてくれて無事やっちゃんの家に
到着しました。
私はご家族に今日の経緯をお話しして帰ってきたのでした。
今昭宏