普段、丸々とした猫を見慣れているので、トルコの猫はスリムでしなやかに見える。テーブルと椅子の下を黒猫の親子が歩き回っている。猫だ猫だ。
私は黒猫に「ピシピシッ」と言ってみた。
猫は反応してこちらにやってきたのである。
「おおおお」
福田画伯も「ピシピシッ」と猫を呼んだ。その後も見る猫に「ピシピシッ」と声をかけてみたが、やはり反応する。
ホテルのオーナーは日本に40回位行ったそうで、日本語が達者である。「猫、好きですか」と聞いてきた。トルコの猫で有名なのがターキッシュバンという種類だ。オッドアイといって、左右の目の色が違うものが有名である。ホテルのオーナーは以前白いターキッシュバンを飼っていたそうで、頭が良くて人なつこい子だったと言っていた。猫が好きなお客さんの肩に乗ってきて、口から食べ物をもらっていたそうだ。猫にそんなことをされたら私などは大興奮だ(笑)。
私は猫をちょっと遠目にみていた岡村王子に「猫を『ピシピシッ』って呼んでごらんよ」と言った。彼は猫におそるおそる手を伸ばしながら
「ピシピシッ」
といった。突如黒猫親子が突進してきて、岡村氏は「うわ〜っ!畠山センセイ、猫が来ましたっ!」と叫んだ。うん、猫を呼んだんだもの、そりゃ来るよね。
三浦先生も面白がって「ピスピス」と猫を呼んでいる。
大のオトナがテーブルの下をのぞき込みながら「ピシピシッ」とか「ピスピス」を連呼しているのは結構面白い風景であるが、私達は真面目に「ピシピシッ」を連呼し続け、猫の注意を引いているのだった。
私はこの時まで、トルコの猫は何でも食べるということに気がつかなかった。隣のテーブルの男女が食事のお皿から食べ物を猫にあげているのを見て気がついたのだ。黒猫の親子は何か食べるものをもらえないかとやってきたのである。
そういえば「路地裏さんぽ」にも、猫にサラミソーセージをあげるおじさん(塩分がちょっと心配)とか、猫にゆで卵をあげるおじさんが紹介されていた。日本の猫はゆで卵は食べるのかなあ、と思いつつ、私は自分のお皿からじゃがいもを与えてみた。すると、親子の黒猫は走り寄ってきて、ふがふが言いながらじゃがいもを食べているではないか。へー、じゃがいも食べるんだ(結構びっくり)。
日本では塩分を気遣ったりして、大抵の家ではキャットフードか猫缶(か、猫パウチ)を与えているのではないだろうか。師匠のところの大猫君はさきイカが好きだが、イカは消化が悪いので余り食べさせないそうだ(汗)。私の猫は「ぎすけ煮」(小魚を干したあと甘辛く煮て、青のりなどをかけて乾かしたもの)と、ベビースターラーメンが好きなのだが、どちらも塩分過多なので食べさせていない。
黒猫親子は本当に色々なものを食べた。パスタに入っていたサーモン、パスタ、ステーキ、パン。
イスタンブールの有名な建物に、ブルー・モスクという寺院がある。青いタイルが美しいので、通称ブルー・モスクと呼ばれているそうだ。私達は浜松の日本語学校に行っていたというホテルの従業員(ガイドさん)に案内してもらった。途中に広場があるのだが、そこにも猫がたくさんいた。ここで「おおっ、猫だ」と騒ぐのは私と福田画伯なのだが、師匠は黙って猫をいじっている。いやがる(笑)猫を無理矢理だっこするとか、持ち上げてみるとか、非常に楽しそうである。いやされるなぁ
ブルーモスク。映画「ザ・バンク」で、元東ドイツの軍人上がりのおっちゃんがこの庭で暗殺されるシーンがあるので少し興奮。観光客も入ることができるが、一般の人がお祈りに来ている。入り口でビニール袋をもらい、靴を脱いでビニールに入れて入る。何だか日本のお寺っぽい。入場料はなく、出口でDonation(寄付)を募られる。寄付したところ、お札をもらった。寄付の額によってお札の種類が違うようだ。
後ろの青いケースは、トルコのビール、EFES(エフェス)の箱。エフェスというのは、観光地の古代都市、エフェスにちなんでいるらしい。私は飛行機の中から、イスタンブール滞在中は本当にお世話になった。
なお、エフェスというのは、橋本先生が「救いと報い」の違いを知られたという、エペソ書の「エペソ」
(Ephesos)を指す。現在、トルコ語でEphesosはEFESと呼ばれているから、あながち橋本先生と操体と無縁なビールではないのだ
畠山裕美
2011年東京操体フォーラム分科会は4月29日に千駄ヶ谷津田ホールにて行います。http://www.tokyo-sotai.com/
2011年2月から足趾の操法集中講座を開始します。