『ドドスコスコスコ』って最初は面白かったのですが、最近では少し食傷気味の“楽しんご”氏ですが、栄枯盛衰、移り変わりの激しい芸能界において、手を替え品を替え様々なキャラが誕生しています。
そんな中で、時代が変わっても生き続けている?のがオネエ系キャラと言われる人々でしょうか。
自称ゲイというのを売り物にして、もはやジャンルとしてしっかりと確立された感もあります。何故、このジャンルが存在するのか?と冷静に考えてみると、現代日本においては奇異な存在であり、非日常の中の怖いもの見たさ、等々、色々な理由が挙げられると思います。
ただ、不思議とゲイの方々は堂々?とテレビに出ていらっしゃるのですが、レズ系の方が余り好まれないのは、生々しすぎて笑えないからでしょうか・・・
ゲイと言いますか、いわゆる日本における『男色(なんしょく)』の歴史は意外と古く、神代の頃からその記述は見られますし、平安期の女人を遠ざけていた、僧侶、貴族の間で行われ、特に盛んになったのは中世、戦国期に入ってからでしょうか。戦が日常的になり、いつ何時、命を落とすかもしれない精神状態の中で、武将達は『験(げん)』の悪いことを行うのを極端に嫌いました。
特に当時の武将達は血を嫌い、月のものがある女性を禁忌の対象ともしていました。
しかし、その一方で極度の緊張状態から来るストレスで、性的興奮は日常的にも極限に達していたとも考えられます。
これは現代にも生きている話で、特に格闘技の世界では試合前の数週間、或いは数ヶ月前から禁欲生活に入ると言います。『食欲・性欲』を極限まで抑えることで、動物としての本能が活性し、アドレナリン出まくり状態で試合に臨むわけです。ただ、戦国期は毎日が試合のようなものですから、抑え込むばかりでは精神に異常を来してしまいますので、験もよく、共に戦場にある男衆を側においたのは必然だとも言えるかもしれません。
ですから、今のように『男色』は特殊なジャンルでは無く、ごくごく当たり前に日常の中にあり、作法、或いは嗜みといった感覚だったとも思われます。
それが証拠に江戸期に入ると、武家だけで無く、一般の町人にも男色が拡がり『陰間茶屋』なる男娼専門の茶屋まで存在した位です。
話を元に戻しますが、この『男色』の関係性は戦国期に関しては、大将と部下的な図式が一般的であり、いわゆる大将が『タチ』で部下が『ネコ』という図式が一般的だったと思われます。逆に言いますと、一番の出世エリートコースが『ネコ』になることであり、職名では『小姓(こしょう)』と呼ばれ、主君の傍にあり、主君の“秘書”的役割を果たしていました。
ですから、様々な『知識・作法・武芸全般』に至るまで、一流を求められ、単純に見目麗しいから、などと言った軟弱な理由では無く、真のエリートが小姓に選出されたのです。
有名なところでは“織田信長”と「前田利家」、「森成利(蘭(乱)丸)」、“伊達政宗”と「只野作十郎勝吉」、“上杉謙信”と「上杉景虎(北条氏秀)」、“武田信玄”と「香坂昌忠」などなど、文献に真偽と共に資料として残っているだけでもかなりのものがあります。
伊達政宗公は操体ではお馴染みの武将であり、戦国後期を代表する武将でもあるのですが、先に挙げた「只野作十郎勝吉」と正宗公のやり取りは伊達政宗文書2865号として現存しており、詳細を知りたい方は佐藤憲一氏著の「伊達政宗の手紙」(新潮選書)でもお読み下さい。
長文な上、トリミングが難しい文章なので敢えて載せませんが、後悔の念と、懺悔の気持ちに身悶えしている正宗の様子とか、自傷行為に及ぶ作十郎を愛おしく思う正宗の心の有り様など、読んでるこっちが小っ恥ずかしくなるほどのパッションを感じますので、マニアの方はどうぞ・・・

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「殊道」は15〜18歳の3年間で、花に例えると盛りの時代。「主道」は18〜20歳の3年間で、花に例えると散る花の時代にあたると言うそうです。
諸説あるそうですが、16歳が若衆の春で25歳に達すると陰間としての命は終わりとなるわけです。
この精神的に強い繋がりを持つというのが、『衆道』の根源にはあり、“ネコ”の立場である男性は“タチ”の男性がスムーズに事が行われる様に、『張形(はりがた)』等を使い、肛門を拡張したりと、苦痛を耐え忍んで相手に快楽を提供する立場にあり、一方で“タチ”の男性は快楽を感受して“タチ”の苦痛を察し取り、その責任感を強く持つことで、二人の関係は強く結びつき昇華されるといった、遊びのレベルを逸脱した、『念契』と言った契り契約をも結んだ関係にまで成っていったようです。
昨日のブログでも書きましたように、浮世絵にも男色専門物もたくさんあり、それ以外のジャンルの有名どころでは、武家社会の衆道咄、歌舞伎若衆達の内情を暴露した井原西鶴の『男色大鑑』や、十返舎一九の『東海道中膝栗毛』も喜多さんは元々弥次さん馴染みの陰間だったりと、江戸文化と男色は様々に絡み合っていたのです。
まぁ、色々と『男色』について語ってみたのですが、今巷に溢れている”Boys Love”的温いものでは無く、文武両道の逞しき若者を傍において、“帝王学”を伝授しながら、明日をも知れぬ命を互いに愛情と共に育んだのだと思います。
ですから、今の「ドドスコ」を信長や政宗が見れば、「何だ!この軟弱者!」と言われ、ソッコーその場で手打ちになると思います・・・くわばらくわばら

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