【今日の橋本語録】
〜 そうなってんだから、しょうがねぇんだ 〜
「いろんなお客さんが次々に訪れるが、理屈ギライの翁先生は、
ウムを言わさず、「そこに寝てみなさい」とゴザのベッドを指さす。
「やってみなくちゃわがんネェんだがら」と自分のペースにひきずり込む。
お客さんは、膝うらの圧痛点を押さえられて飛び上がる。
翁先生は、真剣に「ホーラ、こんなにイデグなってんだ」。
そして「ハイ、スゥーッとつま先上げてぇ。ハイ、ストン・・・
ホレッ、いでぐネェ・・・立って歩いてみなさいよ・・・どうですか?」、
「アレッアレレッ、軽くなりました」、「ホラネ、そうなってんだ」・・・着席。
「まぁ、ウソかホントかやってみることだナ。キモチヨク動けば治るようになってんだから・・・。
俺考えたんでネェヨ、自然にそういう風にできてるんだ。まあ、野次馬根性があればのことだがネ」
(「操体法治療室」 P28 ・・・ 「操体法治療室」は橋本先生の下で学ばれた
三浦寛先生と今昭宏先生が共著で書かれたものですが、
橋本先生に関するエピソードなども載っていてトテモ面白い本です)
いや〜、「そうなってんだ」って言葉、ワタシ大好きなんですよねぇ。
ある意味最強の言葉じゃないですか。
だって、「そういうふうになってんだから、しょうがねぇんだ」、
「オレが考えたんじゃねぇんだ、そういうふうにできてんだ」って言われたら、
何があっても返す言葉はなくなっちゃいますヨ。
でも、ワタシはちょっと思うんです。
言ってる本人がどれだけわかって、「そうなってんだ」って言ってるのかと。
そうなってるってことは、そうなってるわけがあるってことです。
そのわけをどれだけわかって、「そうなってんだ」って言えるのか。
何にもわかってないヒトが同じ言葉を言ったって、その言葉はきっと軽いもんになっちゃいます。
橋本先生が「そうなってんだ」の一言で周りを納得させちゃうのは、そういった言葉に深みがあると思うんです。
「だから、気持ちのいい方に体動かすことが操体法だと思ってるかもしらんけど、そうでなくて、わけがあるっていうこと。
人間は、誰が作ったか僕知らんけども、産んでくれたのはお母さんだわな。
親爺が子供産んだなんて聞いたこともない。産ませたかもしらんけど、産んだのはお母さん。
何でも命のあるものだったら、生きてるわけがあって生きてんのよ。
生まれるわけがあって生まれてるの、死ぬわけあって死ぬ
〜 法則があるってこと。法則を知ると知らないでは大違いです。
法則を知るっていうことは。道を知るってこと。
だけども、そういう法則を誰が作ったかっていうことは、これはまた、わかんねえね。
わかんねえけども、そこまで作ってくれた力っていうか何ていうか、それは有難いものと感ずることもできるワな。
そこまで気が届かんでも、考えてみると、あんた、気持ちよく生きていていいようにできているってこと、どう思いますか。
極楽の中に生きてることだよ。われわれ、極楽ん中に生きて、極楽ん中で死ねるようにできてるの。
何も地獄まで行って生活する必要ないの。人間は、罪を作ったらば地獄へ行くと思っている人もいますよ。
だけど、人間は極楽の中で生まれて、極楽の中で過ごして、極楽の中で死ねるようにちゃんとできてるんです。
そこまでいったら、有難いとおもうなァ、僕は。そういうふうになってんだから」
(「地湧きの思想2」 P130〜P131)
生まれるわけがあって、生きてるわけがあって、死ぬわけがあって死ぬ。
う〜む、わけがあるってことは、一体どういうわけがあるんでしょ?
深みと重みを伴った響きで、「そうなってんだ」って言えるようになりたいもんです。
中谷之美
東京操体フォーラムin京都2011は8月28日(日)に開催されます。北村翰男(奈良漢方治療研究所、奈良操体の会)、三浦寛他
Sotai Forum inMadridは、9月24日、25日の二日間、マドリードにて開催致します。三浦寛他