東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

二日目

ミスタードーナツミスド」は朝七時に開店する。早朝四時〜五時台は二十四時間オープンしているデニーズで、自分自身と向かい合っている。自分自身の時間である。日記をつけ、読書し、執筆している。私きりの独りの時間である。この時間帯は、水商売の若い、カラフルな女性が流れてくるし、アルコール漬けの若者がたむろして、騒々しい。デニーズは客のガラが最低だが、ほとんど気にもならないほど自分に集中している。三時間ほど居すわり続けて七時すぎにミスドに移る。いつもの定席が空いている。ウインドウガラスに向いて、温かいいれたてのコーヒーを頂きながら、NEXTを一服。時間が許す限り、自分自身に集中する。ふと、人の気配を感じ、外を見ると、私をカメラにおさめている男性がいた。彼はあわてて立ち去ろうとする。私は外に出て彼を呼び止め、コーヒーを飲まないかとすすめる。五十代後半の、三茶に長年住んでいる人らしい。以前から私を見ていて、いつかはと、シャッターチャンスを狙っていたのだという。数年前まで写真店を経営していたようだが、大病を患い、店を閉め、好きなように生きているという。いってみればカメラのプロなのだ。彼は申し訳なさそうに失礼を詫びたが、誠実な方だったので、カメラがこわれない程度に撮っていいですよ、と彼の希望を受け入れた。それから朝ミスドで会う機会が増え、会うたびに私を撮っている。撮った写真を丁寧に私に手渡してくれる。七月の「操体マンダラ Live ONLY-ONE」のサイトで使っている私の写真も、彼が撮ってくれた。

彼は若い頃、小説を書いていたのだという。彼の写真はもっぱら人物のようだ。私は人物は余り撮らない。言葉をもたず、私に語りかけてくる存在が、対象である。
この間、花屋の若奥さんから、ハスの球根をいただいた。泥も肥料も頂いて、説明どおりにやってみた。まだ数週間しかたっていないが、ムクムクと茎が伸び、葉が開いた。日に日に大きく成長している。この分では花をつけてくれるな、と愉しみである。朝、必ずハスを観察し、感動している。こいつはすごいよ!ついシャッターを押してしまう。

彼は、日本人外国人を問わず,若い女性に声をかけ、シャッターを押しているようだ。
私はある著名な写真家を知っている。作品は絵の中に浮き出る。パステルで描いた写真である。彼の名は「天涯」花は揺れ闇はかがやく(第一部、第二部)の作品を世に贈った放浪の写真家で詩人の沢木耕太郎である。
私はこの二冊を古着屋でみつけ、手元においている。毎日手が届くところに置いて、目をとおしている。
彼の写真集には、アンティークな時計がよくにあう。

天涯〈第1〉鳥は舞い 光は流れ (SWITCH LIBRARY)

天涯〈第1〉鳥は舞い 光は流れ (SWITCH LIBRARY)

三浦寛 操体人生46年の集大成 "操体マンダラ Live ONLY-ONE 46th Anniversary"は2012年7月16日(海の日)に開催致します。

2012年秋季東京操体フォーラムは11月18日(日)津田ホールにて開催決定