東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

「ヘタクソの心得」その5

「もう1人の自分に目を向ける」

先日、自分の声を録音して聞く機会があった。
その時に録音した声と自分が認識して発している声との違いに驚いた。この驚きに興味があったので色々調べてみたところ、大抵の人は録音した声は自分の声に聞こえないらしい。何故こういった現象が起こるのかを調べてみると『自分の声は発せられた音声が壁等の周りの環境に当たって跳ね返り、空気を伝って自分の耳に入り、鼓膜を振るわせて聴覚神経に伝わる「気導音」と周りの環境を介さず声帯から直接頭蓋骨等を伝って聴覚神経に伝わる「骨導音」ミックスされて聞いているのに対し、録音された声は「気導音」しか再生されていない』のでこのような違いが生じるらしい。私はこういった事を調べていくうちに少し怖いと思った。それは「自分の中の自分」と「人から見た自分」というのが明らかに違うと気付いたからだ。当然といえば当然の事なのだが他者から見た自分のイメージが自分の中の自分とあまりにかけ離れてしまうのは本当の意味で「自分を知らない」のかもしれない。
こういった声のギャップを例に挙げてみても、ほとんどの人は自分の声を聞いた時に「恥ずかしい」という気持ちになるらしく、それは自分が他人に発信しているものが自分のイメージとかけ離れてしまっているからそういった感情が湧いてくるのだろう。こういった事からも自分には「自分自身」と「見られている自分」と2つの自分が存在していると言える。もし何か上手くいかないことがあるならば、その「見られている自分」に何か問題があるのだと思う。初日に「出来ないのは自分の生き方にも問題がある」と書いたが、品格や品性が己のやっている事に影響しているとすれば「もうひとりの自分」に意識を向ける必要がある。自分の生き方や普段の言動、身だしなみ等を己の感覚だけで見るのではなく、他者の目線で見てみるとまた違った自分に出会えるだろう。そうすれば、きっと「出来ない自分」も変わってくるのではないだろうか?

三浦寛 操体人生46年の集大成 "操体マンダラ Live ONLY-ONE 46th Anniversary"は2012年7月16日(海の日)に開催致します。

2012年秋季東京操体フォーラムは11月18日(日)津田ホールにて開催決定