東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

アトラス

六日目です。よろしくお願いします。
今回のブログは脳内の現象について多く書いていますが、脳がある頭は非常に重たいのです。例えば体重10kgの幼児で1.0kg〜1.3kg、体重50kgの大人で5.0〜6.5kgというように、頭の重さはおよそ体重の10%〜13%と言われています。こんなに重い重量が頭から常にかかっているわけですから、からだが知らずのうちに歪むのもうなずけます。
この重い頭部と頸椎が環椎後頭関節という関節で連結しています。頸椎は第一頸椎から第七頸椎があり、第一頸椎を環椎、第二頸椎を軸椎ともいい、この間で環軸関節を構成しています。第一頸椎は環椎と呼ばれる他にも、アトラスと呼ばれることがあります。
アトラスとはギリシア神話に出てくるあの「アトラース」です。
アトラース(古典ギリシア語:Ἄτλας:Atlās)は、ギリシア神話に登場する神。日本語では長母音を省略してアトラスともいう。巨躯を持って知られ、両腕と頭で天の蒼穹を支えるとされる。名前は「支える者」・「耐える者」・「歯向かう者」を意味する古印欧語に由来する。(Wikipediaより)
アトラース(Wikipediaより)
ギリシア神話に出てくるアトラースのように、重い頭部を第一頸椎が支えているわけですから、第一頸椎をアトラスとはうまく言ったものだと思います。
この第一頸椎の支えを壊してしまうということは死を意味することになります。第一頸椎は延髄レベルにあります。延髄は呼吸、血管運動、心臓、内臓機能などの生命活動を維持する為の重要な中枢があるために、第一頸髄損傷は自発呼吸が不能となってしまいます。
赤色で示す領域が延髄(Wikipediaより)
このように大切な部位である第一頸椎ですが、環椎後頭関節と環軸関節を構成しているわけですから、必然的に環椎後頭関節と環軸関節の使い方・動き方も大切となります。からだの使い方・動かし方が不自然であれば、延髄の影響により自律神経に大きな問題が現れるのは必至だと思います。
からだには理に適った使い方・動かし方があります。理に適ったからだの使い方・動かし方では、特定の関節のみに大きく負担がかかるということはありません。この正しいからだの動かし方と使い方をまとめたものが操体の身体運動の法則なのです。身体運動の法則によって日常のからだの使い方や動き方が正しく自然体になっていくわけですから、治療にも予防にも働きます。来院される患者の多くは、からだの使い方や動かし方が不自然なのです。
ぜひ皆さんに身体運動の法則を正しく理解し、日常に役立てていただきたいとともに、指導する側にも身体運動の法則の学びを深めていただきたいものです。(もちろん僕も精進します)
今日はこのあたりで・・・ありがとうございました。

三浦寛 操体人生46年の集大成 "操体マンダラ Live ONLY-ONE 46th Anniversary"は2012年7月16日(海の日)に開催致します。

2012年秋季東京操体フォーラムは11月18日(日)津田ホールにて開催決定