東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

〜癖とからだの使い方〜

今日から1週間ブログを担当します瀧澤です。宜しくお願いします。

突然ですが皆さんは自分のからだの癖をご存知ですか?急に言われても…と思われる方もいるでしょうが、例えば、右足を上にして足を組む、立っているときは左足に体重をかける、落ちているものを拾うときにももの裏がピンと伸びる、左手で頬杖をつきながらパソコンに向かっているetc

言われてみると「そうかも」と思う方は少なくないと思います。人に指摘されて初めて気がつくことって多いですよね。癖はけっこう無意識のうちに出ているんです。生活環境によってからだの使い方そのものが癖になっている方もいますし、心理的要因で癖が出てしまう方もいます。何故癖として表に出てくるのかというと一つにはからだは無意識のうちにバランスを取ろうとしているからではないかと思います。人間のからだはもともと効率よく使えるように設計されていますので健康から不健康に傾斜していく過程でこれ以上悪くならないようにバランスをとります。

例えば右の腰が痛いからそれをかばって知らず知らずに左足に体重をかけて歩いたとします。靴の底の磨り減り具合を見てみると左右で違うのがわかるくらいからだの癖として表に出てきます。これで右の腰の痛みがなくなれば自然にからだが調整する範囲で間に合うのですが、間に合わなくなってくると今度はかばっていた左足に痛みが出てきます。そうこうしているとその左足をかばって右足に体重をかけるようになったら再び右の腰が痛くなってきて…これではもうからだは間に合いませんから病院や治療院に駆け込んで他力で何とかしてもらおうとします。当然その場で楽になればすっかり痛みや辛さのことは頭から抜けてしまい、普段通りの生活を送っているとしばらくしてまた痛みがぶり返してきてしまった…そんな経験をされた方も多いのではないかと思います。ではこんなときどうしたら良いのでしょうか?

それはちゃんとしたからだの使い方を学習することです。けれどもこのからだの使い方は学校の教科書にものっていないし、親が教えてくれるわけでもないし、取扱説明書が皆さんのお家にはあるわけでもありません。ではどうしたら学習できるのか。操体の中に答えはあります。操体には自然の法則というものがあります。これは生き方のルールブックです。当然、からだの使い方即ち「身体運動の法則」なるものがあるのです。

私は2年ほど前に鍼灸接骨院から訪問医療マッサージに職場を移しましたが、慣れない介助等で右のお尻からももの裏にかけてピーンと痛みが走ることが続きました。膝を緩めずに腰を曲げた体勢を頻繁にとっていたため、変な癖がついてしまっていたのです。その時はストレッチで対処することぐらいしか出来ず、なかなか痛みがとれませんでした。しかし1年程前から操体を学びはじめて「身体運動の法則」を使わせていただくといつのまにかスッと痛みが取れていたではありませんか。その後も全く痛みは出ていません。痛みを何とかしようと思わなくても日々の生活の中でからだの使い方を学んでいるとからだは間に合ってくるのです。

橋本先生は「からだの設計にミスはない」で「まあ、ウソかホントかやってみな、ということだ。やってみないでケナシてもホメても意味がないよね」と書いていましたが、まさにその通りでした。ですから皆さんにもこの素晴らしい法則を知っていただきたいと思います。11月18日(日)は秋季東京操体フォーラムです。自分のからだと向き合うきっかけになると思いますよ。

からだの設計にミスはない―操体の原理

からだの設計にミスはない―操体の原理

2012年秋季東京操体フォーラムは11月18日(日)津田ホールにて開催決定