東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

「人生の豊かさ」について 〜その5〜

今回のブログのテーマがなぜ「豊かさ」になったのかというと先月の1日に畠山先生の紹介で東京大学にて行われたOETR(海洋エネルギー&東北再生)シンボジウムに足を運んだことがきっかけであった。
この講演は建築家の伊東豊雄さんや編集工学で有名な松岡正剛さん、森美術館の館長である南修史生さん等、様々な分野で活躍されている方達が東北再生について自身の活動、思いを語る場となっていて、私にとってこういった人達の生の声を聞く事は今後の糧になると思い参加させて頂くことになった。

行く前は正直、建築学科を卒業したとはいえ、10年以上も建築の世界から離れてしまった自分にこういった話が理解出来るのかという不安もあった。しかし、そんな小さな不安よりもこの講演で掴める事の方が遥かに大きく感じたので仕事や用事をキャンセルして足を運んだのだ。
何故それほどまでに行きたかったのかというと東北復興に尽くされている方達の生の声を聞きたかったのと、そういった方達の生き方•仕事に対しての姿勢を少しでも感じてみたかったことが理由にあった。特に講演の前に本を読んだ伊東豊雄さんの考え・思想には操体と通じるものを感じ、とても共感するものがあった。それは自分がやっている事のビジョンに「心の豊さ」「命の豊さ」を追求していることである。
伊東豊雄さんの建築に対する姿勢は職種こそ違うが三浦先生と同じで自分の好きな事を徹底的に追及し、それが結果的に自分のため、世の人達のためになっている。こういった「求道者」の言葉や生き方を見ていると現代人に欠けている「命の豊かさ」があるように思う。私からすれば橋本敬三先生にしても、ブッタにしても同じ事が言えて、己の「道(タオ)」が「豊さ」と結びついているように思える。
ここで補足しておきたいのが「命の豊かさ」とは決して「生活の豊かさ」ではないという事である。大抵、私達は「豊かさ」=「便利」としてしまいがちだが、ここでいう「豊かさ」とは人間の命が本来求めている要求であり決してお金や物等の目に見えるものではない。それは「自然法則」の中に自在してあり、その法則と共に生き、学ぶことこそが己の人生の「豊さ」なのである。こういった事に結びつくヒントが伊東豊雄さんの著書にあるのでそれを明日紹介していきたい。