東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

「目」とか「みる」とか その4


からだの悪いところが手にとるようにわかるとしたら ・・・

臨床家にとってこんなにありがたいことはありません。


たとえば経絡指圧の増永静人先生。

皆さんご存じのとおり、経絡がみえるというスゴイ先生です。


経絡指圧と操体法の考え方には似たようなところもあるようで、

橋本先生は操体法の原理を運動力学的に説明されておりますが、

増永先生はこれを虚実で説明しているということらしいのです。


まぁでも、経絡がみえるってどういう感じなんですかねぇ。


それに増永先生が経絡がみえるなら、

三浦先生は連動のラインがみえちゃうんでしょうか?


妄想はますます膨らみますが、どちらにしても患者さんの状態が

よりはっきりとわかるってことに変わりはありませんネ。


その増永先生は著書の中でこんなふうに書かれております。


「今だから私は、はっきりと経絡が見えるようになって、

患者の症状が手にとるように分かるが、

以前はどうだったかろうか、と。これは経絡に限ったことではない。

世の中にはこれと同じように、はっきりそこにありながら、

見る心がないために見えないもの、見る力がないために見えないで

「何もない」と思いこんでいるものがいかに沢山あることか。

何もないのにどうしてこうなるのだろうと不思議に見えることは、

すべてないのではなく、見えないだけなのだ。

何も悪いことをしていないのに、こんな不幸になったとか、

こんな病気になったとか言っている人は、

自分の犯している過ちに気づかないから分からないだけなのだ」

(『経絡指圧 治療百話』 医王会指圧研究所)



う〜む、何だか耳の痛いお言葉なんですが、

でもまさにその通りなのかもしれません。


見る心がないために見えないもの。見る力がないために見えないもの。


人間は情報の約80%を目から得ているということらしいですが、

そういった情報から一歩離れた意識でモノゴトをみることで、

もしかしたら見えなかったものも見えてくるのかもしれません。



中谷之美