ガイコツは昔から好きだ。
海賊も好きだし、うちの先祖は代々から海の民なので、DNAに何かインプットされているのかもしれない。
子供の頃「一休さん」の伝記を愛読していた。とんち小僧の一休さんの(子供の頃の法名は「周建」と言う)話しだけではなく、20歳過ぎてから琵琶湖に身投げ(自殺未遂ですな)したり(この頃は宗純)、大徳寺の住職となって大往生するまでが書いてあった。勿論子供向けだったので、実は後小松天皇のご落胤だったとか、妻帯肉食、確か晩年は盲目の美女の尼さんと暮らしていたとか、そんなことは書いていない。
その中で一番印象に残っているのは、正月にしゃれこうべ(頭蓋骨ですね)を竹にのっけて街中を歩き回り「正月は冥土の旅の一里塚、めでたくもあり、めでたくもなし」というところなのだ。今でもはっきりと覚えているということは、当時余程インパクトがあったのだろう。
長じて私はロックの洗礼を受ける。
もともと小学校低学年あたりからラジオで洋楽に馴染んでいたのだが。
父親が仕事(テレビの朝ワイドのディレクターをしており、丁度初来日で特集した)でもらってきたKISSのレコードと巨大なポスター
で「おお、これはすごい」と思い、今に至る。
ジミ・ヘンドリックスの「紫の煙」のイントロを聴いて、興奮して眠れなかったこともある。
短絡的であるが、ロックと言えば皮とかスカルとかシルバーである。
というわけで、未だにゴールドよりもシルバーのほうが好きだ。
これは、渋谷駅に貼られていたストーンズの来日公演のポスターの、キース・リチャーズの手元の写真だ。
ばんそうこうが何ともシブいではないか。このスカルには下あごがある。
ある日の日曜の夕方。新宿伊勢丹メンズ館の「サロン・ド・シマジ」に向かった。
ここは世界で唯一、シングルモルトと葉巻が楽しめるデパートなのである。
私はせいぜいスパイシー・ハイボールだが、バーの表は島地勝彦先生がその「目利き」で集めた銘品が並ぶ、セレクトショップになっている。
そこで売っているのが、アイファニーのスカルリングなのである。
http://www.fashion-headline.com/article/img/2013/02/16/665/5065.html
(写真参照)
キース・リチャーズの指輪とどこが違うかというと、アイファニーのリングは下あごがない。
「人間、死んだらみんなこうなるんですよ」
と、シマジ先生は言う。
そうなのだ。死んだらみんなこうなるのだ。
薫陶を受けた三人の文豪(柴田錬三郎、今東光、開高健)は、すでにこの世にはいない。
何だか不思議なことだ。
よく考えてみると、私も、橋本敬三先生は生きていると感じている。
何だか不思議だが、そうなのである。
今年は、アイファニーのスカルリングを買おうと思っている。レディスは額にダイヤが入るのだ。
私の指に大きなスカルが光っていたら「お、アレだな」と笑って欲しい。