東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

バランス〜その四〜

 佐助が担当する六日目です。よろしくお願いします。
 
 三半規管と耳石器である前庭迷路が集めた情報は、前庭神経という神経を通って、脳幹や小脳、さらには大脳、脊髄へと伝わります。その情報に基づき、身体の各部の筋肉は伸縮し、平衡を保つよう働きます。

 小脳は運動の監視装置のような働きとして、内耳の前庭迷路、目、足、自律神経などの各部から入ってくる情報を正しく判断し、姿勢を安定的に保つ働きがあります。
 その小脳に、身体各部からの情報を伝えているのが前庭小脳です。前庭小脳が正常に働いてこそ、身体はバランスを保ちながらスムーズに動くことができます。

 前庭小脳はとてもデリケートな部位とされ、たとえばアルコールに最も影響されやすいのがこの前提小脳です。脳梗塞によって真っ先に影響を受けるのも前庭小脳ともされています。さらに高齢になると足元が心もとなくなりますが、その原因は足の筋力が落ちただけではなく、前庭小脳の老化によりからだのバランスを上手に保てなくなっている理由もあるようです。
 その他にも、乗り物酔いにも大きく関係しています。乗り物に乗ると、身体は揺れやスピードを感じます。これは人間のからだが自ら起こすものではなく、外的な要因が引き起こされる過剰な刺激です。そこで前庭小脳は、過激な刺激にブレーキをかけ調節してから情報を大脳へ送ろうとしています。このブレーキ力が適切であれば、大脳に情報が正しく伝わり、大脳はきちんとした判断を下せますが、ブレーキ力が強すぎたり弱すぎたりすると、情報がただしく伝わらない結果、大脳が混乱して乗り物酔いが起こるとされています。

 からだの情報から姿勢の保持や微調整には小脳の前庭小脳が大切だからこそ、小脳の働きが機能低下をすると、自分の感覚と実際の動きがうまく連動せずに、運動に誤差が生じてしまいます。
 操体法での感覚分析では、ひとつの動きを通して感覚をききわけます。これはからだの動きと感覚を一致させるアプローチにもなることが考えられます。実際に操体法のアプローチ後、自分のイメージ通りにからだが動くと喜ばれる方もいます。本当に操体とは奥が深いことを実感します。今日はこのあたりで・・・。

 ありがとうございました。