タイトルをみて、お!福田遂に手術かと思われた方は早とちり、お
陰様で操体とご縁があってからのここ数十年、医者通いは一度も無く、
市販の薬なんぞは幾つの時から飲んでないのか?と思われるほどの
状態で、日本の医療費負担を軽減しており、素晴らしき社会貢献と
思っております。
本題に入りますと、私たち手技療法家にとって近くて遠い存在が
整形外科でしょうか。
勘違いして戴きたくないのは私達とドクターは役割が違うのであって、
当然のことながらお互いが否定する立場でも無く、西洋医学の持つ
ミクロな見方とパーツにおける専門性はやはり凄いものが有ります。
私たちが職業柄よく出会うのが、スポーツ障害です。スポーツと障害
はセットであり、スポーツを行う以上、ケガや障害は付きものです。
私は人生野球の人なので、特に野球の障害に関しては自分も含め、
頭が痛いものがあります。
野球に関しては肩、肘、腰が主な障害部位なり、特にピッチャーに
関しては先ず殆どの選手が何らかの障害を抱えています。
まぁ冷静に考えると、投げるという動作は非常に複雑な過程を特に
肘部位に与えますので、プロアマ含めその多くは肘の痛みに悩まれる
こととなります。
最近はアマチュアでも聞かれるようになりましたが、肘にメスを入れて、
損傷部位を治療する方法がみられるようになりました。
いわゆる『トミー・ジョン手術』です。
わたしゃてっきり、最近までトミー・ジョン博士がやっている手術かと
思っていましたが、最初にこの手術を受けたトミー・ジョンって投手の
名前をとってネーミングされたそうです。因みにトミーが手術したとき
の成功率は1%と言われていたそうです。
結果、トミーさん術後もカムバックして、活躍したために『バイオニック・トミー』
ってニックネームが付いたそうです。ビルの屋上まで飛び上がりそうで何だか懐かしいっす・・
話戻しますが、トミーさんの頃とは違い、今では術後90%の割合で復帰出来る様なので、
メジャーリーガーは盲腸手術位の感覚で、こぞってトミー・ジョン手術を受けています。
つい先日、ダルビッシュ選手がメジャーの登板間隔についてツイート
して話題になっていました。
現状のメジャーの登板間隔は中4日が一般的で、中4日では炎症が
とれないとダルビッシュは訴えていました。球数は余り問題では無く、
中6日にしてくれれば選手寿命も延び、疲れもとれると言っていました。
まぁこれは経営者サイドの問題で人を増やすと総支給年棒が増えるので、
出来るだけ少ない人数で廻したい思惑もあります。彼等にとっては選手
は消耗品で稼げるときにフル稼働してくれればよいのです。
アメリカでは選手の身体を資産価値として考え、身体のパーツは消耗品
として捉えていますので、投資した金額が回収出来なければ不良債権となります。
話戻しますが、投球動作とは上腕部の『内旋〜外旋〜内旋』と非常に
複雑且つ、極限的動きをとりながらボールをキャッチャーに向かって投げていく動作です。
残念なことに速球派のピッチャーになればなるほど、肘に対しての負担は
増えていきます。
よく解説者が腕がムチのようにしなって素晴らしい投球
フォームです!などと表現しますが、このムチのようにしなる動作こそが、
肘の内側側副靱帯を損傷する一番の原因にもなるのです。
身体が柔らかいとケガをし難いとか、ストレッチで身体をほぐすことが
重要だなどと一昔前には言われていましたが、現在では否定的な意見の
方が多くみられるようになりました。
我々が関われるとすれば、この辺りではないかと考えます。トミー・ジョン手術の
成功例が90%になった最大の理由は手術の技術向上もひとつですが、大きな要因は
『リハビリ』技術の向上だと言われています。
リハビリには筋肉強化部分とケアが必須ですので、術後の早期回復
には操体的要素はかなり効果的です。投球フォームの見直しなどもあ
りますが、先ず軸のブレが少なくなりますので、動作ロスが軽減します。
動作ロスの軽減は各パーツにかかる負担の分散になるので、よりケガ
しにくい身体作りも望めます。
スポーツが健康に良いなどと幻想が未だにある日本ですが、スポーツの前提は
壊れない身体作りとケアの併用です。スポーツを行うための『運動』と
日常生活に差し支えが出ないような『ケア』の両輪は日米関係なく必須ですねぇ〜