操体には様々な哲学が有ります。その一つが『息食動想+環』です。
人が人生を生きていく営みの中で他人に代わってもらうことの出来
ない、最低限自己責任として行うものです。
この息食動想+環の中で私がここ数年特に力を入れているのが『環』
です。
一般的に操体の指導の中ではスルーされる項目の一つです。
何故なら他の項目と違って、個々に違うから定型化しにくい項目で
も有るからです。環境に関しては橋本敬三師も著書の中であまり触
れられてはいません。
しかし、突き詰めて考えるとこの『環境』ってとても重要なファクター
なのです。
同時相関相補正連動ですので、どれかが突出して良い悪いの問題では
無いのですが、その中でも環境は重要なのです。
私が考える環境とは個々が住んでいる家の場所とか、島根に住んでい
るとか東京在住などのミクロの環境では無く、もっと大きな括りであ
る、地球、そして宇宙を捉えた大いなる生命体環境のことを言ってい
ます。
人間なんてどんなに進歩したって所詮、地球という宇宙の中に存在す
る惑星の一生命体にしか過ぎません。どんなに科学技術が進んだとし
ても、地震、台風、洪水など、大自然の猛威の中では水面に漂う木の
葉程度の存在でしかないのです。
究極の医学とはやはり『未病医学』であり、『環境』で考えれば『未災』
とでも言いましょうか、身に降りかかることを予見し、時には身構え
時には用心しながら宇宙と同一化していくことが大切だと感じます。
とかくアメリカ的発想で物事を捉えますと、自然を制圧するが如く立
ち向かおうとします。例として適切では無いですが、津波に備えて高
い防波堤を築いても自然に想定外は付きものです。自然は制圧するの
では無く敬い、受け入れていくしか無いのです。
但し、受け入れるとは言え、ただ翻弄されてしまうのではなく、分かっ
た上で充分に準備し、備えさえしておけば大難が小難で治まるのです。
宇宙にはゼロはないのです。等しくどの生命体にも災難や幸福を与えます。
人生はプラスマイナスゼロになる様に設定されている気がします。
人は皆、幸せになりたいと願い、いい学校を出て、いい仕事について、
幸せな家庭を持ってと日々願いつつ過ごしているはずです。
しかし、人生は平均年齢まで生きたと仮定しても80年弱の期間があります。
どの時期が幸せであれば人生HAPPYと言えるでしょうか。若いとき?
年を重ねてから?宇宙の法則からいくと、一生HAPPYってことはあり
得ないことは明白です。
環境をみるとは、その時その時の、人生の潮目をみていくことです。
良いときには足をすくわれない様に慎重且つ大胆にいく必要があるでしょう。
悪いときには晴れる日を信じ、頭を低くし次に立ち上がるまで、耐えて
実力を蓄積することが大切だと感じます。
当然のことながらこれは身体にも同じことが言えるのです。その人
にとって厳しい冬の様な時にはいくら頑張っても身体は治りにくく
なるものです。
それを無視して欲張ると、思わぬ落とし穴があったり、症状が長引
いたりと、宇宙に購うのは愚かなことでしかないのです。
宇宙の意志は悪意も作為も無いのです。あるのは生きとし生けるもの
平等に降り注ぐ愛と言えるでしょう。
宇宙からの『環境』今一度考えられても面白いかもしれません。