東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

〜食と環〜

夜はかなり冷え込んできましたが、その分空気が澄み渡り、
頭上の星たちは一層輝きを増してきました。特に今住んでいる
家の周りには街灯がないので満天の星を満喫することが出来ます。

以前は寒いのが得意な方ではなかったのですが、こういった
愉しみを覚えてからは妙に冷え込んだ夜も心地いい。
小学校の頃に読んでいた星の図鑑にはギリシャ神話と星座の成り立ち
が載っており、夜空を見上げていると当時の記憶が蘇ってきます。

宇宙にあって、私たちにとって身近な存在と言えば太陽と月でしょう。
特に「食」のつながりで見ていくと太陽の存在はとても大きい。

一昨日のブログで三木成夫先生の本を紹介し、そのなかで使われている
「たまり」という言葉について書きました。

さらに詳しく見ていきますと
・植物は宇宙と一体をなしている
・自分(植物)のからだの延長が宇宙そのもの
・動物は宇宙を自分のからだ中に取り込んでいる
・動物は宇宙(自然)からある程度隔離されている
ということが書かれています。

植物はご存知の通り自分で移動することはできませんが、太陽のエネルギーを
用いてその場にいながら栄養を作り出すことが出来ます。光合成ですね。
ですから日中は常に栄養を作り出し、自らの成長に用いることが出来ますから
ためておく必要がないんです。だから植物には「たまり」がない。宇宙(太陽)
からのエネルギーがある限り、宇宙と一体となった栄養摂取体系を築くことが
可能です。「食」と「環境」が見事に調和しています。
※「植物は食事をするのか」と言われそうですが、エネルギー入力という観点から
言えば立派な「食」です(笑)

野生の動物に目をやれば、彼ら(彼女ら)はいつでも餌に
ありつけるわけではありません。それこそ、「たまり」が必要でしょう。
肉食動物が一週間獲物にありつけないのはザラですし、
草食動物たちは家畜とは違い、その年の天候などで食べる量は変わってきます。
にもかかわらず、一週間獲物にありつけなかったチーターの、いざ獲物を
目の前にした時の瞬発力はどうでしょう?かたや、そのチーターに
追われているガゼルの走行は2、3日餌となる植物にありつけなくとも
落ちることはない。家畜をまる飲みした大蛇の消化力、冬眠で冬を
越すクマなどを見ると外部の環境に順応しつつ、「食」という営みを
からだの内部環境とともに見事な調和をとげています。

宇宙(太陽)のエネルギー⇒植物⇒草食動物⇒肉食動物と連鎖していますね。

「人間は植物じゃないし、野生動物でもないからね。同じことなんか
出来ないよ」

おっしゃるとおり。「真似をせよ」というわけではありません。
ただ、もともとこの「たまり」がこのように進化発展してきたプロセス
を理解すれば、いかに必要以上に「たまり」にためこまないような
「食」を営むことが重要か気づくことが出来ます。
つまり自らの置かれている環境(職種や生活パターンなど)とからだの
内部環境(体質、現病歴、既往歴など)を考慮することが重要だということです。

今は飽食の時代ですから、「たまり」に負担をかけやすい環境に
我々は身を置いています。食べ物を食べれば当然胃腸は働き出します。
お酒を飲めば肝臓も働きだします。消化器系統への血流量は増大し
優先的に消化、吸収、分解に力を入れ出します。その分、抹消組織への
血流量は一時的に減少します。
このようにからだは優先事項に合わせてからだの内部環境を変化させます。
ですから、食べ過ぎ飲み過ぎなどで常に消化器系統に負担が強いられている
状態では、「疲労を回復させる」ところまでからだが働かず、いつまでたっても
不定愁訴が抜けきらないということもあり得るわけです。

よく自然治癒力を引き出すといいますが、
いかに「息」、「食」、「動」、「想」とそれぞれの「環境」を調和させていくか、
ということが鍵となりますので、治療は受けるけれども普段の生活は知らん
ぷりではもったいないわけです。

「快からのメッセージ」の中で三浦理事長は三大ストレスと称して
「肉体的ストレス」、「精神的ストレス」、「美食なるがゆえの消化器内臓のストレス」
を挙げております。それだけ「食」は「欲」の関わる比重が他の営みに比べ大きいの
です。

快からのメッセージ―哲学する操体

快からのメッセージ―哲学する操体

自然治癒力が発動しやすいからだの環境を整えていくためにも手始めに
「食」から見直してみるとよいかもしれません。

太陽の下で日向ぼっこしながらであれば、ひょっとしたら植物のように宇宙の
エネルギーを受け取ることが出来るかも知れませんね。

「2014年秋季東京操体フォーラム」 開催決定
今回は11月22日(土)23日(日)の二日間開催いたします。
メインテーマは「操体進化論」です。
特に、22日は場所の都合上、人数が限られておりますので
ご参加希望の場合はお早めにお申し込み下さい。
詳細は以下、「東京操体フォーラムHP」をご確認ください。
http://www.tokyo-sotai.com/?p=813