<“陰陽未分”の一"におさめる>
本来のかかりつけ(医)について考えてみる。
日本では昭和36年頃までに、現在まで続けている国民皆保険制度をつくりあげた。
日本国民であれば、比較的自由に医療を受ける権利が認められているというわけだ。
この仕組みは、世界の主要な国々における医療保障に目を向けると、大まかに言って日本のような社会保険方式で支える国と、税金方式で医療を支える国の二つになる。
制度上の国民健康保険料滞納世帯だが、約400万世帯になるらしい。
滞納して払っていない為、医療機関にかかった場合は全額自己負担となっている。
払えるのに払っていない人は比較的少ないので、本来は払いたくても払えず、保険料未納では”全額自己責任”ということになる・・・が、これが“皆保険”の実態なのだ。
ちなみに、生活保護を受けている世帯ではこの仕組みから外れ、保険料負担と医療費負担共に免除となっているため全額負担無し、その為上記統計数字には入っておらず全額税金方式により、いわゆる「国民皆保険制度」は成立し、納めているのである。
公平とか不公平とか、倫理とか考えそうになる前に、もう一つの例を挙げよう。
医療費のほとんどを占めている“三大成人病”の疾患要因は様々であるが、生活習慣病と言われるくらい、ひとりひとりの“生活環境”や“生活習慣(=癖)”の影響が大きい。
だから、食生活など個人の努力で予防、改善できることもかなり多い。
生活習慣病であれば,医療費の大部分も、“ひとりひとりの意識”で変えられる。
いかに病気にかからないかを、指導するのも厚労省、日本国の責任であればこそ、
それを、私たちひとりひとりが学ぶからこそ、責任と言えるのではないだろうか。
このようなことを、既に何十年も前から創始者橋本敬三師は提言している。
つまり日本の医療費増加にも、ひとりひとり自己管理の責任があるということ。
このようなことを「操体」の哲学思想で学び、「操体法」で実践する。
「からだにききわける」というのは、その最もシンプルなおさめかたである。
自分に関与することが、生活に直接関与するのであり、この日本社会に関与するのであり、国民医療費も全体のうちの一つ、このような決して他人事ではない。
医療も、介護も、税金問題さえも、ゆっくり確実に変化していくことは間違いない。
春季東京操体フォーラムは、いよいよ今月の「昭和の日」に開催される。
操体を学ぶ私たちができることは、「操体」の哲学を学ぶ同志を見つけること。
将来に繋がる今を、おさめていくのが「操体の臨床的効果の検証」なのである。
岡村郁生