おはようございます。
操体創始者、橋本敬三先生が長年の研究と研鑽を重ねた末に辿り着いた
「気持ちよさをききわければいいんだ、気持ちよさで治るんだからな」
という真理。
この真理に対して、臨床で気持ちよさをききわけさせる為にどうすれば良いか、という事に関しての体系づけは、橋本先生の存命中は成すことが叶わなかった。
その成さんとした意志を引き継ぎ、気持ちよさに対する臨床を体系づけたのは三浦寛先生でした。
三浦先生は、橋本先生の側で一番長く、そして内容も幅広く深く学んだ人です。
操体の臨床部分である操体法のやり方だけ学んでいたのではなく、内弟子として側に仕え、橋本先生の想念、哲学、生命観も直に教えを受けて学んでいた。
だからこそ、楽と快(気持ちよさ)を識別して、動きから気持ちよさをききわけてもらう第2分析を体系づける事が出来た。
気もちよさをききわける。
何に気もちのよさをききわける?
それは、自分のからだに感覚をとおして、ききわけるのです。
治すのは自分のからだであり、元々の身体の設計にミスはなく、人それぞれ個性はあれど、誰もが気持ちよく満足して一生をおくれるようになっており、気持ちよさがからだの治癒能力の原動力になっているからです。
元々この自然界に存在する生命は、こうした有難さに基づいている。それが橋本先生の悟った真理であり、まさに救いの生命観なのです。
そして、生命現象というのはバランス現象であり、気持ちよさがからだの治癒能力の原動力というのは、気持ちいいという感覚こそが、からだのバランス制御に働きかけるからです。
ですが、気持ちよさにもからだが要求する気持ちよさと、そうでなく単に気持ちよく感じるだけのものと質的な違いがある。
だから、バランス制御に向くからだの要求に則した気持ちよさを、ききわけることが肝要という事なのです。
気持ちよさで治る。これは頭の思考だけでは理解しずらいことだと思います。
しかし、自分のからだを構成している70兆あるといわれる細胞も、嫌や嫌や結びついて互いに相関し、相補し合っているとは思えないのです。
人にはそれぞれ個性があり、境遇も違います。目に写る世界だけで考えると他の人を羨んだり嫉妬することもあるでしょう。しかし、目に見えないところに観を向ければ、70兆ある自分の構成要因は快の方向性を持ち、自分を生かしてくれている、という事に気づけるのです。
「気持ちよさをききわければいいんだ、気持ちよさで治るんだからな」
これは、思考を超えた真理だと思います。