東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

息によって・・・2.

おはようございます。

  「息」「食」「動」「想」これらにかかわる「環境」。これらはすべてが鎖の輪の様につながっており、同時相関相補連動性であり、あるものが悪くなれば他のものも悪くなる性質と、あるものが良くなれば他のものも良くなる性質があります。
  操体臨床の現場では、からだの歪みから感覚的バランスを崩し、様々な不調や症状疾患を抱えた人を診させていただいている。その時「動」に着目し、動の自然法則を応用して、被験者に動いていただき、動きのなかで快をききわけていただき、からだの要求に則った快を味わっていただきます。
 そうすることで、「動」から「息」「食」「動」「想」と「環境(自然環境)」の調和が密になり、バランス快復へとつながり、結果的に不快感覚の消失、様々な不調や症状疾患の解消、改善がみられます。これは、同時相関相補連動性になっているお陰とも言えます。

  からだの歪みは、ツクリと動きに歪みが生じていることを指すので、「動」から快適感覚の問いかけを行なうのが、一番手っ取り早いということになってくる。
 しかし、「動」だけで臨床をとおしているわけではない。身体運動の法則に呼吸との相関性があるように、「動」と「息」とは相関しており、呼吸によってもからだが動き、からだの歪みが調整され、心のバランスをはかって癒す事も出来る。 

 この「動」と「息」との相関性を活かす取り組みは、操体創始者、橋本敬三先生が現役の時から行なわれていた。
 しかし、その取り組みは呼気が中心であり、それが近年まで継続されていた。それが間違っているというわけではない。ただ、より良くからだの要求に応えようとすれば、それだけでは十分ではなくなってきたのだ。
 これは、時代背景もあるだろう。この何十年かの間に、人為・社会的による環境の変化がどれだけあったろうか。物質的に格段に豊かになり、それまでの暮らしとは雲泥の差がある。生活の質も変わり、人間のからだは、以前と比べ格段に自然から離れてしまってきていることは事実なのだ。

 また、呼吸も気持ちよさを、からだにききわけてみれば、呼気よりも吸気の方が気持ちよい場合もある。それに、身心のバランスが崩れ、特に内臓疾患など抱えている場合などは、従来から良いとされている腹式呼吸はスムースに出来ないはずなのだ。
 個的観念からではなく、その気持ちのよさを優先するべきであり、どのような人でも、呼吸をとおしての気持ちよさがききわけられる呼吸の仕方が望まれる。気持ちのよさで、心身は調和に向かうのだから。 

 その望みは橋本敬三先生の遺志を継ぐ、三浦寛先生によってかなえられた。背筋吸気、骨盤呼気。5年前に出版された「操体臨床の要妙partⅡ 皮膚からのメッセージ」にも、その一部が記載されているが、当然それ以前から先生は、何度も繰り返し繰り返し、実践し、確認する取り組みをされており、間違いないと確信したものを5年前に記載し、そこから更に深めたものを、講習や東京操体フォーラムといった場で提供してくださっている。
 今までの固定観念は捨てて、受け止めたほうがいい。橋本敬三先生は「気持ち良さをききわければいいんだ、気持ちよさで治るんだからな」と宣言し、楽から快へのシフトチェンジをしてくださった。その意志を継ぎ、快に基づく操法を体系化したのは三浦寛先生なのだ。
 呼吸も快適感覚というフィルターにとおしてみれば、そのやり方が進化しなければならないのだ。背吸骨呼。特に背筋吸気は、バランスの崩れが著しい人ほど、快がききわけられやすいと感じるし、その効果には眼を見張るものがある。自然の法則を応用し、人々に貢献しようと思うなら、固定観念は捨て、快に基づき進化した呼吸法を学ぶ必要があると思う。