東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

言葉を飛ばす

 言葉というのは心から発信される、その心を持ち込まないように言葉を飛ばすことを試してみる。 たとえば目の前にある一輪の花を見る、それもただ単に見る。 「美しい」 とか 「醜い」 とか言ってはならない、一言も言葉に出してはならない。 その花を見て言葉を差し挟んではいけない、言語化してはならない、ただ単に見る。

 

 このように言葉を飛ばしてしまうと、心は居心地悪くなってとても窮屈に感じる。 なぜなら、心は常に何かを言いたいものであり、心を黙らせて言葉を飛ばし、ただその花を見つめるというのは、始めのうちはとても難しい。 また、何の言葉も差し挟まずに他人を見るのはそれよりもっと難しい。

 

 花と違って人間関係においてはあまりにも自分が巻き込まれている、それは感情的に執着を感じすぎているのでどうしても巻き込まれてしまうことになる。 故に感情的に中立しているものを見ることからはじめる方がやりやすい。 遠くに見える山、ひとつの岩、ひとつの花、ひとつの木、朝陽や夕陽、飛立つ一羽の鳥、空に漂うひとつの雲でもいい、とにかくそれほど感情的に巻き込まれていないものを見る。

 

 自分がそれほど巻き込まれていないものを見ることで、感情から分離したままでいられる、無関心なままでいられる。 だから感情的に中立した対象からはじめて、言葉を飛ばす。 すると感情を背負った状況を見る方向へと進んでゆくことができる。 そして執着を感じる人間関係においても言葉を持ち込むことなく、爽快感の中でただ単に見ることができるようになる。

 

明日からは、香さんが担当します。 どうぞお愉しみに