兵庫県三田市で再々スタートするにあたって、地域情報誌への広告と地元新聞の折り込みチラシを入れることにした。 それはリハビリ目的の操体ヨーガセラピーの被験者を確保するねらいが一番のメインであるからだ。 広告の反応はすぐにあった。 思惑通り、やはり中高年からの問い合わせが圧倒的に多い。
操体ヨーガとしてはいわゆる健康教室としての実修者を募った。 また、リハビリを目的とする臨床としての操体とヨーガセラピーを深く研究し、それを体系化して編纂するという大きな目標も自分の中で掲げている。 そのためにはリハビリ中の患者を探すことも念頭に置いて活動していかなければならない。
脳梗塞をはじめとするリハビリ中の人は、その後遺症的な姿をあまり世間に見られたくないという思いから、早朝の時間帯に森林公園や河川の堤防道路などで足を引きずりながら歩いている人を良く見かける。 そこで私は、よく駅前で配っている広告用のポケットティッシュ仕入れ、それに当院の広告を入れて、早朝の公園等に出向いて、その当院広告入りのポケットティッシュを配ることにした。 これも見事に当たり、反響はまずまずであった。
健康教室としての操体ヨーガは実修希望者が多いことから、週1日だったのを2日に増やそうと思い、次の手を考えることにした。 それは、中高年のトレッキングブームに目をつけたことだ。 神戸の六甲山においてもトレッキング人気の高い山である。 この六甲山のトレッキングコースは沢山あり、その中の下山コースで特に人気のあるのが下山した後、温泉に入って疲れをとることができる有馬温泉に降りるコースである。
私はこの下山コースの入り口付近に、段ボール紙にマジックで書いただけの看板らしきものを設置した。 その内容は 「これで膝も安心! 下山に快適な膝テーピングします。 1,000円でOK!」 これもよく流行った。 その人たちにも本来の目的である、例の広告付きポケットティッシュを配った。 このPRによる反響もよかった。 しかし、これらの行為は違法である。 後でわかったことであるが、六甲山は国立公園であり、公園内でのこのような営業行為は禁止されている。 もう時効だから言えるが、公園監視員に見つかっていたら取り調べを受けるところだった。
私はこういった活動をしながら、ブリージング・セラピーと操体ヨーガの研究に情熱を燃やしている。 何より嬉しかったのは、昼間のワークだったからだ。 あの悪夢のような深夜までの臨床とその後、車で1時間半の道のりを運転して朝方に帰宅するようなことはもう二度としたくないと思っている。
それから数年はここで落ち着いて臨床活動を続けていたが、どういうわけか、出張施療の予約が増えてきた。 婦人会が主催する地域の会館に呼ばれていったところ、「操体ヨーガ愛好会」 なる紙が入り口に貼ってあるのには驚いた。 前に私のところで操体ヨーガを指導した実習生が今回の発起人だった。 そろそろ、「操体ヨーガ」 という名称を商標登録しておいたほうがいいのかも知れない。
最近は出張施療がとても楽しい。 自宅から車で2時間ぐらいまでなら、まず断ることはない。 先日は淡路島まで出張施療に行ってきたが、その帰路において、淡路島西海岸のサンセットラインを走行した折、その景観たるや実に素晴らしい。 西の空を真っ赤に染めて瀬戸内海に沈みゆく夕陽はなんと幻想的なことだろう。 生きているという実感すら湧いてくる。
気が付けばいつの間にか出張施療にウエイトが大きく傾いていた。 そんなことから、「只今、不在! 出張施療中」 の看板を当院入り口に表示することが多くなり、この地での開業から撤退することにした。 が、今まで来院いただいている方については、引き続き、自宅の一室を改良して施術室として診させていただくことになった。 こんなことならはじめから自宅を改良すればよかった。 ズッコケになるのか、ドタバタになるのか分からないが、これが私の操体クロニクルである。
現在、私は引き続き、操体ヨーガ編纂にかかっている。 時間があるときはできるだけこれに充てているが、操体ヨーガ研究の集大成にはまだまだ時間がかかりそうである。
明日からは香さんのクロニクルです。 お楽しみに!