東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

正と歪、正体と歪体

歪体というものをどう捉えるか考えてみた。

東洋医学では、正気(真気)と邪気という言葉を使う。

邪というものを字源から解釈すると、牙+阝で、牙は動物のキバのことであり「歯牙にもかけない」などと使われる。この牙は、くいちがいを意味する。

この立場から身体を観ると、背骨の配列異常や関節アライメント異常、という姿が浮かび上がって来る。

一方、邪を和語から解釈すると、音で写してシャ斜となり、ななめ傾きを意味する。

この立場から身体を観ると、頸や体幹の傾きや捻れという姿が浮かび上がって来る。この身体の傾きは、橈み(たわみ)とも言える。橈みは、しなりでもある。「竹刀」は、昔は「橈」と書かれたそうである。


こうして見て来ると、歪を「ひずみ」と読めば、他力的に全身のアライメントを調整することを想起し、「ゆがみ」と読めば、自力自療の動きにより、橈みをもって矯める、となる。

橋本先生の遺された文章を読めば、操体の草創期には、この両方の考え方が刻まれている。