Physicalには、①物理的な、②身体の、(他に、自然の)という意味がある。
人間のからだに携わる者として、
「物理的な」と訳すと、人間を剛体として捉えて、運動学→バイオメカニクス、という方向に進んで行く。学問としては、おもしろい。その向こうにロボット工学がある。
私は、個人的には「身体の」と訳したい。血の通った生身の人間の感触がある。
ところで、身体という言葉は、明治期の造語であるという。それまでの伝統的な日本人のからだ観を表現する言葉は「身」であったそうである。
身におぼえ・身の丈・身なり・身のほど・身につく・身にあまる・身のため・身をよじる・身の毛がよだつ・身も心も・身の代金・御身大切に・身につまされる・身を立てる・・・・・
これらの言い回しの中に含まれる、目に見えないが確かに掴んでいる本質的なもの。
体の奥に在る、或いは体に重なって在る、霊性を持った実体としての「からだ」、その声を聴かなければならないのだろう。