東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

ひだりの道 ④

 昨日と同じ 「ひだり理論」 の続きで、「月」 と 「人体」 に関する生命体とナトリウムの続編である。 

 

 45億年前の地球と月の距離が12分の1というのは、潮の満ち引きにおいて壮絶なものであったことが想像できる。 万有引力は距離の自乗に反比例するので、引力は12の自乗になり、144倍になる。 つまり月がもたらす潮汐力は現在の100倍以上のエネルギーで、月の引力による潮の満ち引きが行われていた。

 

 その頃の月は、現在の4倍の速さで地球の周りを回り、また地球も6時間で1週するという速さで自転していた。 干潮と満潮は、地球の1自転において、それぞれ2回訪れるので、1時間半ごとに干潮と満潮が繰り返されていたのである。 

 

 この時期の地球は、月の引力で生じる潮の満ち引きで、凄まじい台風並みの大嵐が常に起きていた。 これにより地殻は潮の流れで削られ、大陸にまで海水が押し寄せた結果、ナトリウムが一気に海に溶け出すことになり、この時点から海水は初めて現在の塩水となったのである。 

 

 我々の生命を育む塩水という海の環境は、月が地球のすぐ近くを回る惑星であったためにもたらされたものだと言える。 それは人も含めた現在の地球上の動物がナトリウムイオンを使って神経や筋肉をコントロールして生命を進化させてきたことであり、これは生物学における常識となっている。

 

 そして地球の誕生後、30億年が過ぎた頃、今度は、月が地球から離れていくことになり、海が穏やかとなって、その潮汐力は現在とほぼ同等になったと考えられている。 そこで当時の生命体は酸素呼吸で得られる莫大なエネルギーを利用して、細胞と細胞を結びつけるコラーゲンを作り出し、我々の祖先である 「多細胞生物」 が誕生したという仮説が最も有力である。

 

 ここで話を 「ひだり理論」 に戻すと、 ヴェーダ文献によれば、左の道であるイダーナーディーは、月のエネルギーを運ぶと言われている。 それは物理的にも月が地球にもたらす引力のおかげで地球の自転軸を安定させてくれたというものだ。 月は地球に対して均等に引力を及ぼし続けてくれたことによって、地球の自転軸がこれ以上傾くのを防いでくれた。 つまり、月のみが地球の自転を守ってくれていることになる。

 

 地球は自転しながら太陽の周りを公転しているが、自転運動の中心軸は公転する面からみて垂直ではない。 地球の自転軸は23.4度傾いており、そのため季節の変化が生じている。 もし月の引力がなかったら、木星の引力の影響を受けて不規則に変化するので自転の中心軸も歪められてしまい、その結果、もっと傾いてしまう。 そうなると、灼熱地獄と極寒地獄が繰り返され、高等生物は死に絶えてしまうだろう。

 

 そのような月は、人体の機能にも少なからぬ影響を与えていることが明らかになっている。 月の引力の影響を受けている潮の干満と同じように、我々の体内においても月による僅かな引力の差が何らかの変化を生み出しているものと考えられる。 38億年前に始まった月と地球生命との深いかかわりは、今なお形を変えて我々の細胞の中に脈々と受け継がれているのである。

 

 「ひだりの道」 と言われるイダーナーディー 、つまり 「月の気道」 は人体の機能にどのような影響を与えているのだろう。 地球の自転軸の傾きは人体の機能にも当然ながら影響はあるが、それよりも地球生物全般に対する月の影響は、地球上で起こるあらゆることにも現れている。 

 

 地球の惑星である月は、地球上の有機生命体の内部で起こるすべての出来事の動因の中でも主要な、いやむしろ最も関係の深い直接的なものである。 地球上の人間、動物、植物のあらゆる行動、活動、意思表現は月に依存しており、また月によってコントロールされているようだ。 

 

 地球を覆っている有機生命体の敏感な被膜は、その活力を吸い取っている月という巨大な電磁石の影響に完全に依存している。 他の生き物と同様に人間も、生命の普通の状態においては、月から自らを引き離すことはできない。 したがって人間の取るすべての動作と行為は完全に月にコントロールされているのだ。

 

 「操体マンダラ」は2021年7月22日(木)海の日に開催します。