(きのうのつづき)
『数学の歴史は測量に大きく関わっていますけれど、古代に測量学が発展したのは、領土を正確に測ることを通して、人間の争いを減らすことにもつながっていたんです。』
『宇宙は長い年月をかけて膨張していますけれど、誕生する瞬間に、一旦クシャクシャに折りたたまれてしまったらしいんです。その折りたたまれた部分がどうなっているのかは、誰にもわからない。その折りたたまれた部分を説明(表現)するために、芸術が生まれたんです。』
なんで勉強をしているのか。目的不明の状態で受験勉強に埋没していたその当時のわたしにとって、某予備校の数学と物理学のアシスタント講師のこのモノガタリは、どんな丁寧な公式の説明よりも深く、生き方にも貫通する「学ぶこと」や「表現すること」の土台にある世界を伝えてくれたように感じたものだった。
宇宙が拡がる前の、折りたたまれて重なり合って、隠されている何か。
認識されなければ、誰からも気づかれることのないままの未開の世界。
それでも、宇宙の一部であるわたしたちは、その何かと無関係ではいられない。
目に見えないことがあって、認識されていないこともあって、
からだはききわけていて、それをことばにすることは、各々の「わたし(たち)」にはできること。
必要なものはあった 手を伸ばさずともすぐ傍に
枕のその裏側に 圧縮された記憶の重なりに
使っていなかった道具を手に取る
錆びてはいないけれど、使っていなかったことは伝わった
手に取ればわかるし、手にも取らなかったのだ
手には取れなかったのだ
でもいまは、たしかに触れている
あとは使ってみればわかること
それでも使ってみなければわからないこと
というわけで、最近あまり使っていなかったことばと向かい合う一週間。
お付き合いいただきありがとうございました。
明日からは友松実行委員の登場です。明日からのブログどうぞおたのしみに!