東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

言葉をもたない生き物に重ねて2

公園の樹木など眺めていると、この木は一度種子が発芽してからは(またはこの場に人の手で植えられてからは)、一所に根をおろしてここまで成長してきたんだなとしみじみと感じます。

 

目に見えているところでは、雨が降っても風が吹いても、葉っぱを食べる虫が近づいてきても次世代の種子を生み出す以外は、その場に居続けながら環境に依存して生命活動を続けているように見えます。植物にも多種多様な生存戦略を身につけている種類がいるようですが、一般的な植物は、この地上部では「受」の姿勢が色濃く表れているような感じがします。

 

人間だったら、のどが渇いて、お腹が空いたら、自分の足で動いて必要なものを手にすることが容易にできます。植物も目にみえない地下の領域で「根」のうごきで、対応しているのかもしれませんが、人間や動物のようなスピード感とは随分と異なる動きです。

 

植物を見ていると、既に環境のなかにあるもののなかで、それをいただいている様子が感じられてきます。

 

生活環境のなかで、身の回りにないものを自然と求めることの多い日々を送っている人間からすると、この樹木の生き様は素直な生命の循環を思い出させてくれるような気がしてきます。