おはようございます。
何年か前に、新聞で目にした「老年的超越」という言葉が、ふと思い浮かんだ。
東京都健康長寿センター研究所の増井幸恵氏によると、「老年的超越」とは85歳以上の高齢者に起こる心理状態を指し、スウェーデンの社会学者、ラルス・トルンスタムが1989年に提唱したという。
それによると、85歳を超える高齢になってくると、それまでの物質的で合理的な世界観が、宇宙的、超越的、非合理的な世界観へと変化していくのだという。
わかりやすい例を挙げれば、以下のようになるという。
・自分自身への関心が薄らぎ、身体機能の低下や容姿の衰えも気にならなくなる。
・お金や社会的ポジションへの執着心がなくなり、自らのことより周りのことを大切に考えるようになる。
・社会との向き合い方が変わり、表面的な人間関係や友達の数などにこだわらなくなる。・自分の存在が過去から未来への大きな流れの一部であることを感じる。
・物理的に離れたところにいる人、先祖や昔の人とのつながりをしみじみと思う。
・生命の神秘を感じ、死への恐怖も消えていく。
歳をとれば、肉体的、体力的に衰え、若い時のように外に向けた自由というのは、制限されてくるであろう。
しかし、失うものへの恐怖心から解放されて、心の奥底への旅というか、内から宇宙、宇宙を超えた祖神の里につながる自由の愉しみがあるならば、歳をとるのも悪くないように思える。
長生きして、そうした幸福感も味わうべきだと思うし、そうでなければ勿体無いとも思う。
更に希望を申すならば、肉体的、体力的衰えは自力自療でカバーして、外に向けた自由をたのしみ、内に向けた自由も愉しみ、より多幸感を味わいたい。
そうした希望を叶える可能性が、操体にはあると思う。
一週間のお付き合い、ありがとうございました。
来週は畠山裕美先生の担当となります。
どうぞ、おたのしみに。