東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

尖っちゃダメ

うちに来る人のなかには、来てからひとしきり喋らないと落ち着かない人が結構いる。仕事の事。家族の事。嫌な人の事。
最初は軽い挨拶程度だったものが、どんどんエスカレートしていってしまう。


昨日いらした60歳代の女性もひとしきり喋った後、ベッドの上で一番くつろげるポジションで休んでもらった後もまた仕事の事や嫌な人がいるということを喋りだしたのですが、「でも、この歳までまだ元気に仕事ができているんだからありがたいことなんだよね〜」と言った。


この言葉を聞いて、こちらもなんだか嬉しい気分になってしまい、見えていなかったもの、見よう見ようと頑張っても触れることができなかった部分に自然に手が伸びたのを感じた。
そこには飛び上がるほどの圧痛があり「痛いよッ!」と一瞬怒られてしまった。


自分自身が緊張し、神経を尖らせていたのでは解らないような小さな硬結だった。
相手が痛みや不快症状で気持ちが尖っている時に、こちらも何とかしなければと過剰に緊張して気持ちが尖ってしまうと、相手も尖っている、こちらも尖っているで調和がとれなくなってしまう。尖っているものと尖っているものがぶつかれば火花も散るしお互いが傷ついてしまう。
相手のからだはもうこれ以上傷つきたくないと願っているだろう。だから一番安楽なポジションをとっても、こちらの気持ちが変に気負って尖ってしまっていれば、自身のウィークポイントを素直にさらけ出してくれないのだと思う。
相手のからだは不快から快に向かおうとしており、この快は刺激的なものではなく、ゆったりだとか、くつろぎ、リラックスに通じる快なので、こちらがそれを妨げるような緊張を表していれば、相手のからだも快に向かおうとはせず、これ以上痛くされないようにと身構えてしまい、ウィークポイントを見せてくれないのだと思う。


からだは、どうやってこちらの緊張を感じとっているのだろうか。
相手のからだとこちらとの間には必ず空気があり波動が存在する。
尖った荒い波動、やさしい波動、おだやかな波動。相手のからだは、こちらの波動を感じとっているのではないかと感じます。
尖った荒い波動を発していれば、相手のからだは閉ざされるでしょうし、おだやかな波動を発していれば相手のからだは開放してくるのではないでしょうか。


自分の波動をおだやかにするには、「ありがとう」という感謝の気持ちを持つことだと思います。
そしてそれを言葉にすること。
昨日来た60代の女性は「ありがたい」と口にしたことで自分自身をおだやかにし、こちらの気負った緊張も解いてくれ、私の手を自身の病んでる部分に導いてくれたのではと思います。
この人なんだかすごい人なのかも。



友松 誠。


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