東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

スケートの思い出。

子供の時のことですが私が小学校の時は、冬になると体育の授業はいつもスケートでした。


学校の裏庭に教室2つ分くらいのスケートリンクがあり、スケートリンクといっても裏庭にコンクリートを敷いてその上に水を撒き、まわりをかき氷の様な氷で田んぼの畦のように固めただけのシンプルな青空スケートリンクで、この時期になると学校先生や用務員さん、世話役の大人が夜中の3時頃に交代でバケツの水撒きをして少しずつ氷が厚くなって完成する手作りのありがたいスケートリンクでもありました。


この時期に洗車とかホースで水を出す作業をしていると、あの時のスケートリンクのことをふっと思い出すのですが、あのスケートリンクの氷はホースで水を撒くと氷に段差が出来てしまうのでバケツで一回一回水を撒いていると当時、体育の先生から聞き、小学生の私はそんな面倒な事しなくてもホースから水を出しておけばいいじゃないかと思っていましたが、今になって思えばホースを使ってしまえば、端から水を入れるにせよ、上から散水式に水を撒くにせよ、温度差や時間の都合、圧によりどうしても段差やムラができてしまい、滑っていて危ないので一回一回バシャー、バシャーと水平にバケツで撒いていたと理解することができ、今になって感謝の念がジワ〜と湧いてきます。
最近、なんだかこんなふうに、その時は別段気に留まらず理解しようともしなかったことが、ふっと思い出されて今では理解が出来て、ありがたみがわかって一人でジーンとすることが多くなったように感じます。
操体を学んでいる中でも、その時見落としていることや、その時ピンとこなかった御師匠の言葉、心配りなど何年か経った頃にふっと思い出して、ありがたみでジーンと感動している自分がきっと居るのだろうなぁと思います。


スケートの授業といっても遊びの延長のようなもので、みんなそれぞれおもいおもいに滑って止まる、滑って止まるを繰り返していました。
もっとも、滑って止まると普通にできるようになったのは自分の場合5、6年生になってからで、低学年の頃は立っては転び、前に進んでは転びでズボンはいつも氷がつきっぱなしで尻はビショビショ、膝は破けてつぎはぎだらけという感じでしたが、それでも3年生頃にはなんとなくコツがつかめてきて片足ずつ体重を乗せながら、それなりに滑れるようになったと思います。
それなりに滑れるようになってきてスピードも出るようになったら、今度は止まり方がうまくいかない。
横向きになりながらザーッとカッコよく止まりたいのですが、そうはいかず、ザッ ドテッとか、ザッ ゴロンといつも転がってしまう。
結局いつまでたってもビッショビショのつぎはぎだらけ。
上級生の止まる姿を見ていると止まる時に氷のしぶきがブワァーとあがり格好良く止まっている。中には片足立ちで氷のしぶきをあげて止まっている人もいる。
よしっ俺もと、力めば力むほど、ブレーキはかからずもっと勢いよくドッテン ズザ〜。
そのうちヤケになってライダーキック状態(仮面ライダーの必殺技)。全然ダメ。
それでも、4年生か5年生頃には低学年の時の上級生がやっていた片足立ちで氷のしぶきをブワァーとあげて止まるようなことも出来るようになっていた。


うまく止まれるようになった時のことは今でも良く覚えている。
なぜ良く覚えているかといったら、それまで何年も出来なかったことが一日で出来るようになったからかもしれないが、その時の天気やまわりの木々の風に揺れる感じまで良く覚えている。
この前日に体育を教えている先生にスケート靴の歯を研いでもらったら、これがガッチガチにエッジがきいてしまい、今までのようにライダーキック状態でブレーキをかけていたら変な転び方をして、捻挫でもしてしまうような感じだったので、しばらくはスピードを出さず、ゆっくりとそしてブレーキをかけるときもスキーのボーゲンのように歯をハの字にしてゆっくり静かにブレーキをかけていた。
それから歯のハの字を右足の方を余分に利かせることで左にカーブしながらブレーキが上手くかかる事が感じられるようになってきた。
「あれっ?何だか出来てきた こんなんでよかったんだ〜」と小学生の自分は素直に喜び、うれしくて同じ事を何度も何度も繰り返して遊んでいた。
休みの日だったので一日中やっていたら帰る頃には、右足をヒョイと持ち上げて左足だけでブレーキをかけ、氷しぶきをあげて止まることも出来てきた。楽しい、楽しい。 
一緒にいた友達が「あれ〜 まこっちゃんかぃ?」と不思議そうに声をかけてきた。
まこっちゃんとは自分の当時のあだ名だが、いつものジャンパーとつぎはぎだらけのズボン、毛糸の帽子をかぶっている、ドッテン ズザ〜のまこっちゃんが、片足で氷しぶきをあげて止まっているのだから不思議がるのも無理はない「オ〜ゥ そうだよ〜」と得意げな小学生の私。

 
この頃のことを思い出すと、うまくできなかった頃は、一気に出来るようになろうという意識だけが先走り、結局長い間うまくできなかったように思う。
不自然な欲を取り払い、少しずつ積み上げていけば、ちょっとしたことから理に適う方向へ導かれ、そこには快があり劇的変化があるのかもしれない。



昨日は新年会があり、先生はじめ同志の皆様と楽しい時を過ごさせていただきました。
寿司をいただいたのですが、スーパーなどで売っている機械で握った寿司は食べ進むにつれて、醤油を受ける皿にご飯粒が残ったり、箸で食べていると醤油をつけるときに崩れたりする時もありますが、さすが職人さんが握った寿司はそのようなことはなく適度な固さで、それでいて口の中に入れたときにパラリとほどけるという絶妙な加減でありました。
長年少しずつ積み上げた精進の末、このような絶妙な加減になるのだろうなと思いながらありがたくいただきました。
おいしかった。
ありがとうございました。



友松 誠。




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