タイトルになっている『癸巳』って読める方は読めるでしょ
うが、如何でしょうか?私は読めない一人でした。
因みに読み方は『癸巳(みずのとみ)』です。
一般的には今年の干支(えと)は何でしょ?って聞かれると、
巳年(みどし)とは言っても、『癸巳』まで言う人は少ないです。
ですが、今年、平成25年(2013年)は正しくは『癸巳五黄土星』
の年となるわけです。
そもそも『気』の概念は、昨日も書いたように、中国の夏、殷、
周の時代には既に確立していました。
そして、”Life Force”=生命を気として捉え、先ずは『天』
に気が存在すると考えました。
これは今日もそのまま意味は違いますが、”天気”という言葉で残っています。
余談ですが、これは英語表記のweatherを福沢諭吉が、1888年3月21日から、
自ら経営する慶應義塾出版社発行の日刊紙「時事日報」に、天気予報を掲載
するにあたり、気学の天の気を訳語に使い、それが現在もそのまま本質的
意味違いの“天気”として言葉が残っているのです。
しかし、本来の天の気、天気の意味は天に充満する生命力、天にある
気を示したものなのです。日本人にとって『天』という概念は分かり難く、
日本流に言い換えれば神や仏という存在の方が分かり易いかと思います。
それを気学的には『天の気』として、様々な現象を何千年もかけて、
学術的に体系付け、蓄積された種類を十種類に分類し、『十干(じゅっかん)』
と名付けました。時代的には中国最初の王朝”夏”の時期で約四千年位前の話です。
この『十干』は臨床家にはお馴染みの、五行陰陽説に基づいており、
木・火・土・金・水をベースに、『甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸』が十干と言われます。
音読みだと分かり難いですが、訓読みで読むと、『きのえ(木の兄)、きのと(木の弟)、
ひのえ(火の兄)、ひのと(火の弟)、つちのえ(土の兄)、つちのと(土の弟)、
かのえ(金の兄)、かのと(金の弟)、みずのえ(水の兄)、みずのと(水の弟)』となります。
きのえが木の兄の意味で、陽の木になり、きのとが木の弟で陰の木となります。
歴史好きの私としては直ぐに思いついたのが、中大兄(なかのおおえの)皇子です。
そして、この天の気を受けて、始めて『地の気』が立ち上がってくるのです。
太陽と地球との相関性で、太陽が冬至に向けて冬の気になってくると、その
気の影響で地面が冷えて冬になり、その冷えた地の気を受けて、植物の根が
冷えてきて木の葉が落ちる。
春になると、春の天の気を受けて地面が暖まり、動物や虫たちが冬眠から目を
覚まします(啓蟄)。
そして、この天の気を十二種類で表現し、お馴染みの『十二支』としたのです。
この様に『天の気』が十種類と『地の気』が十二種類、それらを組み合わせたものが、
『十干十二支』としての組み合わせとなるのです。
歴史的に見ても、これらの組み合わせは年代として用いられ、聞き
馴染みのあるキーワードとして、歴史の教科書には度々登場しています。
代表的なものとしては、日本古代最大の内乱である『壬申の乱』や旧幕府軍と
新政府との戦いであった『戊辰戦争』、私的には高校野球の聖地『甲子園球場』など。
全てが、『十干十二支』の組み合わせで年を表現しています。
壬申の乱は”みずのえさる”の年672年ですし、戊辰戦争は”つちのえたつ”
1868年の年、甲子園に至っては『十干十二支』最初の目出度い年の記念”きのえね”
の年、大正13年に合わせ命名されました。
この『十干十二支』の組み合わせは最小公倍数が60ですので、60年に一度は天の気と
地の気が同じ年が廻ってくるのです。
これが『六十干支』のことで、俗に『還暦』として祝うのは生まれたときと同じ
天と地の気が重なる、目出度い意味合いがあるからなのです。
そして、『天の気』『地の気』の間にあって、生きているのが私たち
人間も含めた生命体であり、それを『人の気』俗に言われる”人気”となるわけです。
これは九つの種類に分類され、一白から九紫までの『九星』であらわ
しました。
『一白水星、二黒土星、三碧木星、四緑木星、五黄土星、六白金星、七赤金星
八白土星、九紫火星』の九つあります、これは生れ年で全て決まります。
この九種類に分けたのにも意味があり、これは私たちが、お腹の中に妊娠
して九ヶ月でこの世に生まれてきます。
これは、母のお腹の中にいる間に九つの星を全て体験し、生まれてくること
を意味しています。
私たち人間は宇宙の大いなるエネルギーと大地から沸き上がるエネルギー
との間に抱かれ、そして命を与えてもらい、生かされていることが分かります。
話しは元に戻りますが、今年は『癸巳(みずのとみ)』の年で、十干は『癸』
で水性の陰の星が天に座ります。
十二支は『巳』ですが、巳は火性で地上のエネルギーは火をあらわします。
天のエネルギーが水で、地上が火のエネルギーに満ちているといったことから、
火と水で強烈に対立し、経済的、政治的にも非常に混乱を引き起こす一年になるようです。
『癸』みずのとの語源は水が四方八方から流れ込んでいる様を示している文字
なので、今年は水の落し所を何処に付けるかが勝負の一年で、その道筋を明確にし、
スタートをきることが大切だそうです。ただやります!や、一所懸命やりますだけでは、
乗り切れない一年で、何処へ向かってどう歩くのかを明確にしない限り、努力だけでは
埋められない大きな差が広がる一年にもなるようです。
しかも『巳』は蛇が鎌首をもたげた状態の象形文字なので、冬眠の目覚め、
物事の始まりを意味しますので、『癸巳』の組み合わせから考えると、尚更、
今年一年は目標と方向性を明確にすることで物事が一気に頭をもたげ動き出す
ことになり、まさに天と地の間に生かされている我々の行動の指針がここにあると言えます。
不可視なる意思は既に動き出しているのです。今年一年あなたの目標目的は明確ですか?