東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

コンサルタントとしてのアプローチ。

おはようございます。

 

ふと操体創始者、橋本敬三先生が「さしずめ、ここは患者の墓場だ」と自身の営む温古堂について言っていた、と聞いたことを思い返していました。

当時は全国各地から「どこに行っても良くならない」「何をやっても治らない」といったような人達が、大勢押し寄せていたと聞きますから、そういう人達の最終的な拠り所といった意味で仰っていたのだと思います。

 

なぜ、そのような拠り所となっていたのか。それは現代医学にも東洋医学にも無いものがあったから。
操体法の源流は正体術にありますが、その特徴は他力を用いず、自力運動により回復をはかる事。それを自然法則を究明しながら独自に進化させたものを、操体臨床として用いていたから。そして、実際に効果が上がっていたから。

 

この操体臨床の場では、患者本人、自らが治療者となるのです。そして治療者側は指導者、コンサルタントとしての役割を担います。

自ら動いて→からだに感覚をききわけ→そのききわけた快適感覚を味わう。患者自らが、快適感覚を味わい調和していくことで、自然良能作用は高まり、結果的にどのような症状、疾患も改善に向かう。

 

そこで重要なのはコンサルタントとしての治療者側の役割です。クライアント(患者)自らが、からだの感覚をききわけるまでの過程で、操者(治療者)がコンサルタントとしてどう関わるかが重要だからです。

そのクライアントは、からだの使い方に自然法則があるなんてことを知らないが為に、そこまでのからだの不調を、生活の営みのなかで積み上げてしまっているのです。ですから、からだの要求を満たすように動いてもらうには、操者の介助、補助、からだにとおるような言葉かけが必要不可欠です。

他のコンサルタント業のように、口で説明して頭の理解を得るという事ではないのです。

 

コンサルティングとは、クライアントに解決策を示して、その発展を助ける業務を行うことを意味するそうですが、そのアプローチは操体臨床の場合はからだに向けてであり、クライアントに向けてではなく、クライアントのからだに向けてなのです。

アプローチをからだに向ける以上、そのからだの身にならなければなりません。その人の自我とは別なのです。

 

その人の自我は症状、疾患名に向き、それを何とかしたいと思うでしょう。その思いの中には、からだへの想いが欠落しているのです。自分が、からだにどんな仕打ちをしてきたかを考えもせず、とにかく不快症状から逃れたい。

しかし、疾患名も人が付けたものであり、からだからしてみれば的外れな場合もあるし、今まで尽くしてきたのにそんなレッテルを張られる筋合いはないと思うでしょう。また時間空間の変化とともにからだの状態は変わるのです。

クライアントのからだに向けたアプローチ。治すのは、あくまで、からだなのですから。

 

つづく。

 

2017春季東京操体フォーラム4月29日(昭和の日)に開催します!