メッセージとアプローチをしていく方法の一つに写真や絵画等の芸術があります。
基本的にこれらは言葉を用いずに見る者に自分の意思や想いを伝えますが、言葉という伝達手段がない分、伝えたいことは受けての感性に任せるというところが魅力の一つです。
それは操体の臨床とも通ずることであり、からだ、皮膚を介して患者とその場の空気を共鳴し、メッセージを送るということは芸術と似て通じているものです。
それだけに畠山先生や三浦先生達が写真を撮っていることも臨床との結びつきが深くあるからなのだと感じています。
私自身も最近は言葉のないメッセージのやりとりを学びたくなり、写真集をいくつか購入し見ているのですが、写真家達のメッセージは私達臨床家がしていることは似ていると感じました。
特に私が共感したのは「Made in Japan」(社団法人日本広告写真家協会)が出している写真集で、これらは日本人が忘れかけてしまっている伝統や日本の美を思い起こさせてくれるものとなっています。
「忘れ去られた記憶を甦らせる」という点においては写真家達もきっと私達と同じように、問いかけているのではないでしょうか?
私達は「からだに触れ、動かし、感覚を聞き分け、快を味わう、それがからだの治癒力を引出し、あとの治すことはからだにお任せする」ということが基本となります。
その過程の中でクライアントが聞き分けている感覚、感じていることは現在から生前までの生命の記憶を辿っていっているようにも思います。それは一切の搾取はなく、ただクライアントの聞き分けた感覚に委ねた結果の一つがそういった現象に繋がっているようにも思える。
写真家の人達も各々がテーマを持ち、問いかけて見る人達あとは見た人達の感覚、感性に任せる。それが結果的に計らずともその人の生き方になんらかの影響を及ぼしている。
言葉のない世界は想像していた以上に奥が深いものです。
2017年4月29日(土)2017年春季東京操体フォーラム開催。
テーマは「操体新旧臨床譚~よみがえる橋本敬三&最新症例集」です