私の中で常識というものの捉え方の参考にしているのが野村克也さんの本です。
野村さんは選手としても監督としても偉大な成績を収めてきましたが、私の印象ですと厳格な方で基本を大切にし、選手にはアスリートとしてだけでなく一社会人としての生き方も大事にされてきた印象でした。
そういった素晴らしい監督がどういった見方、捉え方で野球や人生と向き合ってきたのかがずっと知りたくTVや本で追ってきたのですが、野村さんの常識に対する捉え方は操体を学ぶことにおいても大切なヒントを与えてくれます。
野村さんは著書で「ときには、常識を疑ってみることも必要だ。(省略)ビジネスにおいても、常識を疑うことが課題の解決や新たな発見に繋がることがある。縦に置くのが常識だった部品を横においてみるだけで、画期的なアイデアが生まれるかもしれない」(「野村の金言」セブン&アイ出版より)と述べています。
常識や自身の見解を基本にただ一方向からではなく、多面的な方向から捉え、見ていくことが大切なことで、特に私達のようなからだを診ることを生業とする臨床家はこういった捉え方が最も重要な事ではないでしょうか?
最近私が臨床を通じて感じるのが「やり方を決めて行うことほど、つまらないものはない」ということで、臨床をある原理原則に乗っ取って自由な発想で行うことに面白みを感じています。
そのように愉しみながら臨床を通していくと、からだからは様々なメッセージを受け取ることが出来ます。
そのメッセージは「常識だけに捕らわれていては見えるものも見えてこえないよ」と言っているようです。
恐らく操体の臨床はそんなところに旨味があるのではないでしょうか?