おはようございます。
これまで、操体臨床の第1分析(D1)、第2分析(D2)について書いてきましたが、どちらも、被験者本人(患者)の意識関与が多分に関わっています。
しかし、第3分析以降では、被験者本人の意識関与は遠ざけ、治しをつけてくるからだそのものに対する診断法に変わってきていると感じています。
第3分析(D3)は、皮膚へのアプローチ、渦状波®となります。
皮膚はからだをすっぽりと包み、外部との境界をなしていることから、一般的にはバリアー機能について語られることが多いようです。
しかし、内部、精神との連関も密であり、第2の脳とか第3の脳とも呼ばれます。事実、臨床上最も重視している皮膚の表皮は、発生学的には脳と同じ外肺葉由来であるという。
皮膚に関しての著書の多い傳田光洋氏は、著書の中で、
「絶え間なく変化する環境の中で生きる存在にとって、その境界たる皮膚の方が、生命機能維持のみを考えた場合、脳より上位と言うことも可能かもしれません」
と書いています。
この文章から察するに、頭の脳と同じように、皮膚も様々な情報を処理して統合していると考えれば、頭の脳は思考優位の意識領域での働き、皮膚の方は無意識の領域で生命機能維持の為の働きをしていると感じます。
そして、それぞれ特有の記憶を有しているのではないかと思えるのです。
渦状波®を行っている時、その時空で被験者本人は、快のみをききわけているわけではないようです。
時折、辛そうな表情を浮かべたりします。しかし、その表情は一時的なもので、次には満ち足りた表情にもなります。
この時空というのは、からだが本人の生き方(意識)に合わせている状態から解放され、生命の本源と向き合う状態(無意識)になり、生命体としての記憶を整理しながら、バランス制御に向かっているのではないか?と感じます。
操法後に、昔どこかを痛めた時のことを話してくれ、そこを触ったり動かしたりして確認して、こっちも良くなっていると仰ってくれる人もいますが、からだだって現在の症状が治まるバランス状態となるだけでなく、より根本から良くなるバランス状態となる事を望んでいるのだと思います。
この場合は、からだがききわけてくる快、となるのではないか?と思います。