東京操体フォーラム 実行委員ブログ

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般若心経の考察 ~ 般若身経解説②

 般若心経を日本語に訳すと、般若波密多(ハンニャ・ハラミッタPrajñā‐pāramitā:プラジュナー・パーラミーター)という女体の菩薩の心臓を解きあかした経典ということになる。 施護(Dānapāla:ダーナパーラ)の訳に 「聖仏母」 とあるのは、この女性の菩薩が、仏母(Bhagavati:ヴァガバティ)、すなわち、仏陀を生んだ母親だからだ。 

 

 また鳩摩羅什(クマーラジーヴァ)の訳に 「心」 の字がなくて、「大明呪経」 となっているのは、この経典のねらいが明呪(マントラ、真言)を提示しているからである。 故に仏母である般若波密多菩薩の心臓とは、この経典の最後に書かれている 「明呪(マントラ、真言)」 のことにほかならない。 

 

 この 「般若心経」 の経題を 「身経」 に置き換えてみると、操体経典ともいえる 「般若身経」 というものが誕生する。 この経典は自然法則に基づいた身体運動の法則であり、からだの使い方と動かし方を説いたものである。 それはからだ全体に動きを連動させて、そのからだに 「心経」 でいうところの 明呪 を唱えてもらうことにある。 

 

 「般若身経」 は操体における臨床やからだの動きを理解する上で最も重要なものである。 操体操者は患者の動きについていけるように、自分のポジションや患者の心理状態である 「管理されたい! 指導されたい!」 という心の欲求から、動きの誘導を会得するのにとても役立つ経典と言えるものである。