東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

般若身経の解説~健康体操とは違う。

おはようございます。

 

創元社から発行された「ー橋本敬三論想集ー生体の歪みを正す」には、般若経〔健康の自然法則〕が載っている。

ここに載せられた般若経は、その1の身体運動の法則と、その2の生き方の自然法則からなる。

改めて読んでみると、その1の身体運動の法則は、図解入りで親切に説明しているが、何だか体操の教本のような印象を受ける。

 

広く一般向けに身体運動の法則を知ってもらう為に、解りやすく、それでいて効果が現れるように工夫したのだと思うが、却って法則の奥深さが分かりづらくなっているように感じる。

 

確かに、ここに記されている基本運動と称した運動を毎日、左右、前後と比較して、やりやすい方を多めに行うという運動をしていれば、他のエクササイズよりも安全だし、身体も柔軟になってくるだろう。
きちんと行えば、健康維持、増進につながる事は確かだ。

 

しかし、一つ一つの基本運動を3~5回おこなうとか、そういう決めつけをしてしまうと、エクササイズ的な要素が多分に感じられるようになってしまう。

義務感のようなものが生じたり、動きも早くなってしまうだろう。

それでは感覚のききわけが疎かになってしまう。

これでは、ある程度バランス状態の整っている人が、健康維持、増進の為に行うものというふうになってしまう。

それでは身体運動の法則を自然法則として活かせない。


感覚のききわけを疎かにすれば、般若経も単なる運動と化してしまう、とはよく言われている事である。

ゆっくり動いて、感覚をききわけながら行うから、バランスを崩して症状、疾患を抱えている人でも活用でき、健康の基礎の調整から健康回復に役立てられる。続けていけば、更に健康の底上げが期待できる。

 

橋本敬三先生の悲願は、全ての人が健康で快適に十分に満足して一生を全うできるように、という事であり、身体運動の自然法則の究明もその為だった筈です。

ですので、どんな人でも活用できる健康への手引きであるべきなのです。

だから、操体臨床(治療)も根本には身体運動の自然法則があり、それを臨床で応用して快適感覚のききわけにつなげられる。
また、快によってバランス制御に向くからだの動きをサポートするにしても、身体運動の法則あったればこそなのです。

「ー橋本敬三論想集ー生体の歪みを正す」に載っている般若経の身体運動の法則のその1の取り組み方では、自然法則の奥深さが伝わらず、勿体ないと感じてしまうのです。