鍼灸接骨院では、退職する一年半ほど前から、副院長職を務めることになった。経験が浅いにもかかわらず、よく使って頂いたと思う。
その分業務も増え、時期によっては家に帰らず、院に泊まることもあった。単に要領が悪かっただけなのかもしれない。
それもあって、次の就職先は、家から歩いて五分のところにある訪問マッサージの会社に決めた。土日が休みで、仕事はほぼ定時にあがることができた。
これが、後に操体を勉強するには都合がよかったのである。
就職して半年が過ぎた頃、鍼灸の本を買いに神保町に向かった。
どの本を買ったらいいのかピンとこず、何軒か梯子した後、最後に寄った本屋でふと手にしたのは三浦先生の著書「快からのメッセージ 哲学する操体」だった。
「操体か、操体法ってあったよな……」と読み始めたら、なんだかよく分からないがすごい、という感じでヒビいてきた。
気づくとその本を持ってレジに向かっていた。
何日かかけて読み終わると、実際に操体法を受けてみたくなった。当時は横浜に住んでおり、近くで受けられるところはないか、とネットで検索してみた。二件ヒットした。
一件は近くで出張専門でやっていらっしゃる方のサイト、もう一件は藤沢で治療院を構えていらっしゃる方のサイトだった。
惹かれるものがあってしばらく迷っていたけれど、はじめにヒビいてきた感触に従って三浦先生のところに決めた。